産業経済委員会行政視察報告書(感想等)
※委員ごとに作成し報告書に添付
委員名 川内 賢幸
1 視察の感想
◎谷川用水路について
谷川用水路については、令和4年の災害でトンネルが崩落したため早期復旧を目指して着工していたが、想定外の硬度の岩が復旧ルートに出たために、災害復旧が1年遅れることになった。現場状況等を現地で確認することがなかったが、今回の視察で地域農業の基盤整備として非常に重要な用水路であることが改めてわかった。
総延長は9kmに及ぶ用水路で、受益面積は110ヘクタール。これだけの受益面積で2年弱にわたって農業ができていないため、早期復旧が急務となっている。現場を視察し、改めて、復旧が難工事であること、本年の田植えまでに間に合わせるように応急復旧を行う点などを確認できた。事故等に気をつけて工事完了までがんばっていただきたい。
◎高崎町大牟田加工センター(星の駅たかざき)
高崎町大牟田農産加工センターは、平成6年から供用開始されている施設である、高崎町を始め、市内外から親しまれてきた施設である。今回、老朽化と、さらなる顧客獲得のためにリニューアルを行うものである。
当該施設には長年通っているが、現在の指定管理者になってからは、新たな取組にも積極的に取組んでおり評価できる一方、施設の老朽化等の課題があった。
今回のリニューアルでは、施設の雨漏り等の修繕を行う他、イートインスペースを新たに設置することで地場産品のさらなるPRと来客増加につなげることを狙いとしていた。指定管理者においては、当初より意欲的に、また、これまでの歴史を大事に運営にあたっていることから今後にも期待したい。
◎たちばな天文台
たちばな天文台は、合併前の旧高崎町時代に作られた施設であり本市唯一の天文台である。平成3年の開館から30年以上が経過しており、施設の老朽化や設備の更新が急務であった。
2年前に会派でも調査しており、今回天文台のリニューアルが事業化されたことはありがたい。令和6年度から令和8年度までの3年間にわたりリニューアルしていく予定となっている。
特に、精密機器を扱う施設としては望ましくない雨漏りや、空調の老朽化の更新が急がれる。また、心臓部である望遠鏡も耐用年数が過ぎており、機材の更新が急がれる。
担当職員においては、天文学に長けており、全国からも評価が高いことから今回のリニューアルを機に、かつての日本一星空の美しい町にある天文台の復活を願う。
2 視察の成果及び本市議会への反映等
◎谷川用水路について
谷川用水路は110年前に整備された水路であり、近年の大規模災害に対する耐用力を考えると、さらなる災害が発生することも十分に考えられる。
特に水路総延長9kmに及び、そのうち3kmがトンネル等になっていることを考えると、今回と同様の被害が発生することも十分に考えられることから、市においては、これを機に水路の現況調査を、市民の協力を得ながら行い備えておくことが重要と考える。
また、市内には古い歴史を持つ用水路が他にもあることから、担当課を中心に災害時に備えた事前の動きが求められる。
具体的には受益者である市民との情報共有を密にすること、災害後の調査では見落としがないように調査箇所に上げておくなどの対応が必要である。発災後の対応が遅れれば、予算執行にも影響が及び、今回のように農作物の栽培ができない事態につながることから、今一度関係各課との連携も怠ることなく行うべきである。
この他、実際の工事状況から労災などの危険性もはらむ現場であることから、作業においては受託業者等と情報交換、共有、連携を密にする必要もある。全国では類似工事の事故報告もあることから細心の注意を図っていただきたい。
さらに、今回の工事は、今後類似災害が発生した際の前例になることから、早期復旧に向けてしっかりと記録と引き継ぎを行っていくべきである。
◎高崎町大牟田農産加工センター
高崎町大牟田農村加工センターは、長年にわたり地域住民で組織された高崎町農産加工センター事業協同組合の手で運営されてきた施設である。2020年から「星の駅たかざき」として、現在の指定管理者ループスとなった。ループスの代表は、本市に地域おこし協力隊として移住し、当該施設で勤務した経歴が有り、これまでの管理者の思いや施設のことを理解されている。
指定管理者となってからも、意欲的な取組を続けていることから、今回のリニューアルを通じて、新たな取組と利用者増加に期待が持てる。
一方で、本市としては、当該施設のPRが不足していることから、市内にある道の駅都城NIQLL、道の駅山之口、市場の駅セボンチマルシェ、新滝の駅などとの合同イベントや広報誌などでの周知、イベント創出などに積極的に取り組み、市民により一層親しまれる施設となるようすべきである。
◎たちばな天文台
たちばな天文台がある高崎町は、これまで「日本一星空の美しい町」に7回選ばれた実績がある。その長所を活かし平成3年に開館した施設で、現在でも年間を通じて様々なイベントを行い、施設の活性化や本市のPRに取組んでいる。
一方で、開館から30年以上が経過しており、空調やトイレの老朽化はもちろん、天文台としては致命的な、望遠鏡の老朽化や雨漏りが深刻な状況である。
今回のリニューアルは3カ年計画で行うことになっており、その間に発生する修繕などにもしっかりと取組む必要がある。
あわせて、リニューアル後はわかりやすい案内看板の新設やイベント構築、対外的なPRなど積極的に行い来館者を増やす取組が求められ、観光協会などともしっかりと連携を図りながら活性化につなげるべきである。
関連になるが、駐車場のあり方などについて今後検討すべき課題もあることから委員会としても継続的に取組んでいかねばならない。
都城市議会議長 様
令和元年7月11日
総務委員会行政視察報告書
以下のとおり視察の報告をいたします。
1.委員会名及び視察者名
○総務委員会
委員長 :川内賢幸
副委員長 :永田浩一
委 員 :永田照明、杉村義秀、大浦さとる、赤塚隆志、岩元弘樹
2.視察先・テーマ及び日時
○令和元年7月1日(月) 15時00分~16時30分
群馬県伊勢崎市:外国人生活支援(外国人の生活や定住及び就労等について)
○令和元年7月2日(火) 13時30分~15時00分
栃木県栃木市:移住・定住の推進(移住・定住支援等について)
○令和元年7月3日(水) 9時00分~10時20分
栃木県足利市:結婚支援(結婚応援事業等について)
3.視察内容
○伊勢崎市:外国人生活支援(外国人の生活や定住及び就労等について)
対応:伊勢崎市議会 議長 新井 智 様、
議会事務局 局長 下城 賢治 様
市民部国際課 課長 藤生 ひとみ 様
市民部国際課国際化係 係長 石原 真二 様
市民部国際課国際交流係 係長 佐藤 昌弘 様
伊勢崎市役所議会棟において、市民部国際課課長藤生様及び石原様、佐藤様の両係長から説明を受けた。外国人向けの常設窓口と定期相談窓口の現場視察も行った。
○栃木市:移住・定住の推進(移住・定住支援などについて)
対応:栃木市議会 議長 大阿久 岩人 様
議会事務局議事課 課長 癸生川 亘 様
都市整備部住宅課 課長 加茂 浩史 様
都市整備部住宅課定住促進係 係長 小松原 雅人 様
都市整備部住宅課定住促進係 主査 三室 修一 様
栃木市市役所栃木市議会会議室において、課長及び係長を中心に移住・定住に係る補助金の内容や執行状況、事業の特徴など説明を受けた。
関連施設として、「お試し滞在施設IJUテラス蔵人館」及び「蔵の街やどかり」を外観のみ視察。
○足利市:結婚支援(結婚応援事業等について)
対応:足利市議会 議長 柳 収一郎 様
総合政策部企画政策課 主幹 横田 秀行 様
産業観光部観光振興課 副主幹 吉澤 剛 様
総合政策部企画政策課 主査 渡邉 正行 様
足利市役所の足利市議会会議室において、主幹及び副主幹より結婚支援への取組と観光振興事業について説明を受けた。前日の視察研修内容と関連するものとして、足利駅内にある、移住・定住相談センターを前日(7月2日夕方)に視察。
4.委員感想(別紙添付)
5.添付資料
※視察資料及び写真は別途添付
総務委員会行政視察報告書(感想等)
委員長 川内 賢幸
外国人生活支援(外国人の生活や定住及び就労等について)
1 視察の感想
伊勢崎市では、日本語によるコミュニケーションが十分でない外国人住民のために、平成3年8月から外国人相談窓口を開設し、母国語による相談を行っていた。本年度については、国の補助事業を活用して、翻訳機やタブレットを導入したことにより、これまでの4言語対応から74言語対応へ拡充されていた。
相談窓口には、常設窓口と月水金窓口があり窓口事業の29年度決算額は525万9548円とのことであった。視察日は月曜であったため月水金窓口が開設されており、視察中も次から次に外国人の方が相談に来られていた。主に対応されていたのは非常勤職員の方1名であり、非常に優秀な方で5カ国を話すことができ当初より勤務しているということであった。
相談内容については多岐にわたっており、住民登録から税金、福祉医療、教育、住居に至るまで様々であった。伊勢崎市に居住する外国人は12000人余りであり、これは本市の10倍程度である。その中で、相談窓口を活用する外国人の方が年間3000人を超える状況であり昨年度は最高の3983人とのことであった。
伊勢崎市では、ペルーやブラジルといった南米系の外国人が割合として多いとのことであるが、近年外国人就労者の拡大により技能実習生としてベトナム人が増えているそうで、これは本市と同じ状況であった。市がNPOに委託している「日本語講座」の国別受講者状況では、過去5年間でベトナム人の受講者が多くなっており、外国人技能実習生が増加していることがうかがえる状況であった。
伊勢崎市では、先ほど述べた外国人支援相談窓口、日本語教室開設のほか、外国人向け生活オリエンテーション、多文化理解講座、外国人生活ガイドブック(4言語)、防災マップなど実に20を超える事業を展開して外国人との共生、協働の地域社会づくりに取り組んでいた。
2 視察の成果及び市政への反映など
伊勢崎市では、平成3年から外国人生活支援に取り組んでおりかなりの対応ノウハウを有していることが分かった。まず第一に環境整備という意味合いからすると、多言語を扱える人材を確保、配置することが重要である。
本市居住の外国人は1300名であり、伊勢崎市の10分の1程度ではあるが、近年外国人労働者の増加により、生活支援や生活環境の整備、地域との共存といった課題を速やかに解決する必要性が出てきている。そのためには、何より外国人居住者がストレスや不安なく会話、対応できる環境整備が不可欠である。伊勢崎市では、5ヶ国語を扱える非常勤職員を1名配置して対応していただが、代わりとなる人材がいないため、現在その対応として人材育成を始めているとのことであった。
このことから、本市で人材を確保する際は、本市の居住外国人のうち、ベトナム、中国、フィリピン、韓国、インドネシアといった居住上位国への対応は必須であると考えます。この他にも、モンゴル、パキスタンなど多くの外国人が居住している。すべてに対応するのは困難であるが、伊勢崎市では、国の補助金「外国人受入環境整備交付金」を活用して環境整備を行っていた。この事業は、在留外国人が在留手続、雇用、医療、福祉、出産・子育て・子供の教育等の生活に係る適切な情報や相談場所に迅速に到達することができるよう、情報提供・相談を多言語で行う一元的相談窓口の整備に取り組む地方公共団体を支援する交付金である。この交付金を利用し、翻訳機やタブレットを導入したことで、これまでの5言語から74言語への対応が可能となっていた。
次に、伊勢崎市では、日本社会に溶け込んで生活している日本語力の高い外国人をコミュニティリーダーと位置付け、地域とのパイプ役を担う取り組みもしていた。この点は、外国人への不安等を抱える地域、自治体の不安解消につながり、多文化共生を実現する取組でもあると感じた。本市では、国際交流員の方々にこれらの役割を担っていただくこともできるのではと考える。
この他、外国人に対応するための環境を整えることばかりでなく、外国人に日本になじんでもらう取組として、日本語教室を開催していた。本市でも民間NPOレベルで取り組んでいるが、伊勢崎市では、市がNPOに委託をして日本語教室を開催しており、教え方として「日本語で日本語を教える」方法を取っていた。本市でも直面する、直面しているであろう課題として、日本語教育を受けて技能実習生と来ているベトナム人については、習熟度が低く、ほとんど理解できていない人もいるとの話があった。イラストなどを用いて視覚的に教えるようにしているとのことだった。
この他、多言語での公的な説明資料や防災マップの作製など、日本人、外国人双方がストレスや不安を感じることがないようにする取組が多数なされていた。本市でも、外国人労働者を中心に、多くの外国人を目にする機会が増え、遠巻きに見ている部分があると感じている。今後の取組として、言葉や文化の垣根を低くしていくこと、地域へなじめるような環境整備、生活支援などに行政として取り組むところに来ている。これらの課題に取り組むことによって、雇用する側のサポートにもつながるため、国の事業等の活用も視野に入れ、早めの環境整備、支援体制を構築すべきと考える
移住・定住の推進(移住・定住支援等について)
1 視察の感想
栃木市は、「住みたい田舎」ベストランキングにおいて空家バンク成約数が多い自治体、子育て世代が住みたい田舎部門で1位になっており、若者世代が住みたい田舎、総合部門でも2位になるなどしている自治体であり、展開されている事業や資料が分かりやすい印象を受けた。
1位となった空き家バンクについては、とても見やすく、物件にも好感を持ってもらえるような配慮を感じた。空き家バンクの管理は、地元の宅建協会に委託しており、間取りや外観、内観もしっかりと掲載されており、どこに費用がかかるか考えやすい紹介となっていた。
移住・定住支援策については、6つの事業を展開しており、コンパクシティに向けた取り組みでもある「まちなか定住促進住宅新築等補助制度」、地域コミュニティを維持、形成していくための事業として「多世代家族住宅新築等補助制度」、新婚夫婦を支援することにより定住を促進する「結婚新生活支援補助制度」、本市でも行っている住宅金融公庫と連携した借入金利を下げる「フラット35:子育て支援型・地域活性化型」、移住促進を目的に通勤電車の特急券及び通学定期券購入を助成する制度「楽賃」といった取組が展開されていた。
また、移住・定住につなげるためのお試し滞在事業として、蔵や古民家を改造した建物「IJUテラス蔵人館」「蔵の街やどかりの家」を活用して受け入れを行っていた。実績として「やどかりの家」では開設から3年3カ月で85組212名、「IJUテラス蔵人館」では開設から1年ん3カ月80名が利用しており、内8組18名が移住を完了、2組5名が移住予定という素晴しい実績を上げていた。
2 視察の成果及び市政への反映など
移住・定住の促進に向けた事業は本市でも行っているが、取組に対する実績としては一定の成果は上がっているがまだまだと感じている。今回の栃木市では、宝島社の情報を移住・定住に上手に生かして事業展開をしており、多くの実績を生み出していた。市が移住・定住支援情報として発行している『とちぎで暮らそ』には、移住者や移住体験者の声が掲載されており、移住後のイメージがしやすい内容となっていた。
また、全体のイメージとして展開する6つの事業が一体的に展開されていることで、情報が散漫とならずに、分かりやすく感じた点も本市とは違う点である。本市では、移住定住者向けのサイトはあるが、情報が煩雑で欲張り過ぎているため、欲しい情報が入手しづらい印象を受ける。
また、助成制度に関連している本市の空き家バンクは、掲載事項が限定的で遠くの方々が見ても実際のイメージが分かりにくく、費用も全体的に高い印象を受けるのに対し、栃木市では全国1位を獲得しただけあって、バンク情報からある程度の現状や居住イメージができるサイト作りになっており、物件価格も本市より低価格に設定してあった点も参考になった。実際、売買価格について市は関与していないとの説明であったが、女性の視点、意見で移住・定住が決まることがあり、そういった視点も大事にしているとのことだった。
移住体験者の構成については、未就学児を抱える世代、セカンドライフ探究世代が多いとのことで、興味深い話としては、東北地方の方が雪かきの苦労から脱却するために移住を希望するケースがあるという点であった。土地の気候を活かした移住・定住への取組視点は、本市でも有効ではないかと考える。
この他、子育て世代が支持するものとしては、子どもによる加算を設けていたり、民間企業と連携した就職支援事業も行っていた。
さらに、支援策の一つ多世代家族住宅新築等補助制度については、近隣の市町に若者流出が見られる本市にとってぜひとも取り組むべき事業であると感じた。この事業は、市街化調整区域に住む3世代以上が同居または、近居(2km以内)に住むため新築購入・増改築を支援する制度である。地域コミュニティの衰退や、家族関係の希薄化、若者の流出と課題を抱える本市おいでは、「定住」という意味でぜひとも反映させたい事業である。
総じて言えることは、事業展開は第一に分かりやすくするといいう点、市外者からの移住策ばかりではなく市内居住者の「定住」につながる策も講じていく必要がある点、移住希望者の立場に立った事業や取組のブラッシュアップ等が必要である点があげられる。こういった点から、本市がやるべきことは山積しているため、早急に事業見直しを行う必要があると考える。
結婚支援(結婚応援事業等について)
1 視察の感想
足利市では、婚姻件数が平成19年以降減少傾向にあり、平成19年の810件であったものが平成30年度には551件となっている。
こういった背景もあり、結婚支援に取り組んでいた。結婚支援の事業としては、「あしかが婚活応援事業」という名義使用許可を与えて、民間の取組を支援する事業、県か各市町村と支出金を負担して連携している「とちぎ未来クラブとの連携」により出会いから子育てまでサポートする事業、足利駅に開設している「足利市移住・定住相談センター」での婚活情報発信などを行っていた。
また、これらの婚活支援と絡めて移住・定住や観光振興にも合わせて取り組んでおり、行政内の横のつながりによる一体的な取組を行っていた。
特に観光振興面では、縁結び神社を目玉に多くのコンパを開催しており、他にも縁結びツアー、日本夜景遺産を利用したナイトウォーキングやナイトウェディング等、多くの取組を展開していた。こうした一貫した取組は、観光客入込客数にも成果が表れており平成19年ごろは280万人前後で推移していた数が、平成30年には508万人と大幅に増加していた。
2 視察の成果及び市政への反映など
本市では婚活支援の取組として、出会い応援団事業やオリジナル婚姻届、浴衣クロスナイト、婚活情報配信サービス等を総合政策課で行っているが情報が散漫であり、形式的な事業が多い。
一方、足利市では縁結び神社を中心に婚活に振り切った事業が多数展開されている。紹介されたものとして、「織姫コン」「the鉄コン」「山コン」「ナイトウォーク」など実に多くの事業が展開されており、観光客誘致とからめて実施されていた。
中でも、「恋人の聖地」「日本夜景遺産」に認定されている縁結び神社「足利織姫神社」を核に据えた事業が魅力的で、神社に設置されている「愛の鐘」を活用した取組や、七色に変化する「縁結び提灯」をもって街中を歩くイベントは非常に魅力的に感じた。
というのも、本市には金御岳に訪れる人々の願いを天に届ける「天の金山の鐘」が設置されており、さらに金御岳からの眺望は都城盆地を一望できるロケーションであることから、足利市の取組を上手く落し込めば、本市でも新たな出会いの場の創出はもちろん、観光資源としても新しい活用ができると感じたからである。
また、民間の婚活イベントに「あしかが婚活応援事業」の名義使用許可を付加することにより、参加者に安心感を与える取組も堅実な印象を受けた。この事業許可を受けたイベントは年々増えており、25年1件(参加者40人)だったものが30年には8件(参加者425人)にまで増えており、これまでに3組の方が結婚したとの説明があった。
結婚支援というカテゴリーは、プライベートな部分ナイーブな部分が多く、中々行政としても入りづらい関わりづらい部分ではないかと推察しているが、足利市のように出会いから子育てまでを一つの枠組みの中でしっかりと取り組んでいくことは街の未来にとって非常に重要であり、取り組む事業を一方向からのみ捉えるのではなく、観光やその他のカテゴリーともからめながら取り組むことで、総体的な効果が期待できることも大いに参考になった。本市でも多角的な取組を総合的に行い、民間とも連携した取組が急務と考える。
議会運営委員会行政視察報告書(感想等)
委員名 川内 賢幸
◎視察先
11月13日 午後
東京都立川市議会 議会のICT化タブレット活用について
11月14日 午前
東京都国分寺市 代表質問の運用について
11月14日 午後
東京都調布市 代表質問の運用と議場活用について
1 視察の感想
東京都立川市議会では、先進地の状況を確認しながら自市の状況に則した形でタブレットを導入した議会のICT化がすすめられていた。Ipad airを33台(議員28台、事務局5台)レンタル契約にて導入しており、システムについては、sidebooksを利用していた。執行部は、タブレット導入をしていないが、必要書類をPDF化するなどして議会側に対応していた。この点は、負担が増えたとの感想も聞かれた。
予算の要求は議会事務局が担当し、導入費用は平成26年導入時では、3252円×1.08×33台=115,901円、データ運用に必要なクラウド使用料は初期費用86,400円、使用料91,800円であり、合計47万円の費用を必要としていた。
紙の削減効果としては、平成27年度で削減率35%、削減額88000円ということで、ペーパーレス単独の効果は思ったほどではなかったが、印刷部数が削減され、資料がデータ化され持ち運べることで行政資料を議会が利用しやすく、市民への説明や公開といった点において大きなメリットを感じた。このほか、議会でのプロジェクターを使用した資料提示も導入しており参考になった。
東京都国分寺市では、代表質問について視察を行った。代表質問については、3月定例会に行う事としており、代表質問については、通告していなかった。
代表質問の時間については、3人以上(会派)であれば、答弁含め60分の持ち時間とされており、会派所属数が多くても少なくても60分は変わらないということだった。会派属さない場合は、3人以上で1時間以内の割り当て3人未満で総じて30分以内としており、人数に応じて案分する方式をとっていた。例えば、2人の場合15分以内、3人の場合は一人20分以内というような形だった。
代表質問の時間をどうするかは、本市でも十分に検討する必要があり、国分寺市議会のやり方は参考になった。また、代表質問を日曜日に開催することで傍聴者もおおいということだった。
東京都調布市では、代表質問と議会の活用について研修を行った。代表質問については、市長の所信表明に対して行う事としており、所信表明終了後に通告書を提出することとしており、多数会派順での一括質問方式により行い、再質問や関連質問は認めていなかった。
時間配分については、質問基礎時間を25分としており、一人を超える議員数一人につき5分を加算する方式をとっていた。
また、通告書を提出することになっているが、ほかの会派との重複質問調整は行わず、同じ答弁がなされるとのことだった。
このほか、議場の活用については、議場コンサートを毎年11月に年1回実施しており、来場者は28年52人、29年19人であった。来場者と傍聴者は、必ずしもイコールではなく、その点は検討の余地があると感じた。
しかしながら、議会への関心をいかに高めるかは、需要なことであり本議会での議会の在り方を考える参考になった。
2 視察の成果及び市政への反映など
成果として、まず議会のICT化及びタブレット導入については、紙などの経費削減という一面のみを考えるのではなく、時代に則したスマートな議会運営を行う中で必要であると改め認識することができた。3月定例会の当初予算資料や9月定例会の決算審査資料をはじめとする、膨大な資料を厚さ1cmにも満たないタブレット一台で持ち運べるということは、委員会審査はもとより市民の皆様との関わりの中でもより具体的な資料を明示しての説明や意見交換が可能となる。
特に、委員会審議においては膨大な資料から担当課のページを抽出する時間や、資料が複数ある場合などはスムーズな審査に支障を及ぼすこともあり、タブレットで資料を検索できる手軽さは現状と比較すると余計な時間を取られずに済む。
様々な利点があるタブレット導入ではあるが、本市で導入する場合にはレンタルか政務活動費を活用した導入になるのかといった部分をしっかり検討する必要がある。
また、タブレット活用で審議などを行うには当然、資料のデータ化が必要となるがその点は執行部側が対応する部分であり議会だけの導入だと意味がないことから、議会、執行部が足並みをそろえてICT化に臨む必要がある。本市導入に際してはこの点を特に注意したい。
代表質問導入については、年度における多くの事業が提案される3月定例会に行う議会が多く、本市でも3月定例会での導入が望ましいと考える。この点は、個別バラバラに一般質問で市政を問うのとは違い、会派一丸となって市長の所信や予算の妥当性、事業の重要性を問う事が出来る利点がある。
検討すべきは、会派、無会派の質問時間をどのように設定していくかという点だと考える。この点においては、国分寺市のように会派であれば60分とするのか、調布市のように会派、無会派を問わず質問基礎時間を設定して、人数の分だけ時間をプラスして割り当てていくような方式がいいのか、十分に検討する必要がある。本市の実情に沿った内容を今後詰めていくこと重要である。
この他、議場での資料提示やポイント提示に役立つプロジェクターの議場使用や議会への興味関心を高める手段としての議場コンサートなどの実施も検討の一つと考える。
しかしながら、議場コンサートが傍聴者につながるわけではない実情もあり、国分寺市議会のように代表質問を日曜日に行うというのも市民参加しやすいやり方ではないかと思う。いずれにしても、これまで以上に議会運営をスムーズに行う事、わかりやすい、関心の集まるような議会運営にしていくために今回の研修で得た成果をしっかりと反映させていけるように議論を尽くし、31年度からの運用を念頭に入れて進めるべきだと考える。
平成30年11月19日
総務委員会行政視察報告書
以下のとおり視察の報告をいたします。
1.委員会名及び視察者名
○総務委員会
委員長 :川内賢幸
副委員長 :永田浩一
委 員 :永田照明、杉村義秀、大浦さとる、赤塚隆志、岩元弘樹
2.視察先・テーマ及び日時
○平成30年10月24日(水) 14時00分~16時00分
千葉県木更津市 モバイルワークの推進について(タブレット端末導入による効果)
○平成30年10月25日(木) 13時30分~15時00分
神奈川県藤沢市 シティプロモーション事業の推進について
○平成30年10月26日(金) 9時30分~11時00分
埼玉県所沢市 議会ICTの推進と議場の利活用
3.視察内容
○モバイルワークの推進について(タブレット端末導入による効果)
対応:木更津市議会 副議長 重城正義 様、
議会事務局 局次長 今関 章 様
議会事務局 議事担当統括 山本弘幸 様
木更津市役所駅前庁舎7階の木更津市議会会議室において、議会事務局議事担当総括の山本様、局次長の今関様からタブレット端末導入による、行政、議会の在り方、実情について実際にタブレットを使いながら説明を受けた。
○シティプロモーション事業の推進について
対応:議会事務局 議事課 課長 田口英太郎 様
議会事務局 議事課 主任 和田尚也 様
経済部観光シティプロモーション課 主幹 細谷幸一 様
藤沢市役所9階の藤沢市議会会議室において、経済部観光シティプロモーション課主幹 細谷様より、プロジェクター等を使いシティプロモーションの取組状況や現状などの説明を受けた。
○議会ICTの活用と議場の利活用
対応:議会事務局 局長 北 健志 様
所沢市議会議員 くわはた健也 様
所沢市議会議員 末吉美帆子 様
所沢市議会議員 谷口雅則 様
所沢市役所3階の所沢市議会会議室において、くわはた議員を中心に議会ICTの導入経緯や利用状況、議場の利活用と実情について説明を受けた
4.委員感想(別紙添付)
5.添付資料
※視察資料及び写真は別途添付
総務委員会行政視察報告書(感想等)
委員長 川内 賢幸
モバイルワークの推進について(タブレット端末導入による効果)
1 視察の感想
木更津市では、タブレットの導入について行政側との連携を取りながら取り組んでおり、議会側のみの導入と違い、相互に連携の取れた活用がされていた。
例えば、各種資料について、データとして双方がその利便性を理解したうえで運用をしているため、ある程度の一貫性が図られ、タブレットを使用した議会の取組、行政の取組がうまくかみ合っていると感じた。
また、導入の予算については、行政側の予算として計上されており、この点からも行政、議会が相互理解のもと必要なカテゴリーとしてタブレットを活用し、取り入れている様子が分かった。
タブレット導入の最大の利点は、データ活用のしやすさやに尽きると感じた。当然ながら、タブレットを通じて、ある程度のデータにどこからでもアクセスできるという点では、議会報告等はもちろんのこと議員個人の活動への利便性も向上し、正確な資料を用いて市民の皆様と意見交換ができる利点がある。
さらに、委員会審査についても、いくつもの資料をまたいで説明を受けなくても、タブレットを通じて共通画面で審査に臨めることから、よりスムーズな審議が期待できることも理解できた。
研修を通じて明らかになったことは、議会側のみの導入では意味がないという点であり、執行部との連携と共通理解のもと進んでいかなければ、タブレット導入のメリットは半減してしまうという点である。この点は、大いに参考にしなければならない。
2 視察の成果及び市政への反映など
木更津市では、110台のタブレットを導入しており、その経費は議会ではなく執行部予算で導入されていた。この考えの良さは、双方で統一した価値観や理念の下に行える点にあり、議会側の一方的な導入だけでは、この件はうまくいかないということが分かった。
その点においては、議会、行政双方によるルール作りは不可欠であり、それぞれが求める点を十分に研究する必要性も感じた。この点は、普段から議会側が審査等で執行部に要求する資料の充実や、説明の在り方等に深くかかわる部分であり、双方で扱えるように環境整備を行うべきである。
双方同じようシステムで運営を行うことにより、それぞれの抱える課題や直面する問題等の共有ができ、より先進的な運用が可能になると考える。
実際に木更津市では、予算から契約まで執行部に一本化することによりこの点がうまく行っている印象を受けた。
研修を通じて感じた大きな課題は、インフラ整備であり、タブレット導入と同時に、庁舎内の無線LAN(wifi)環境整備が必要になってくるということ、そのための予算や扱いをどうしていくのか十分に議論をする必要性がある。
さらに、議会資料を保存するクラウドの容量については、木更津市では11GBしかなく、この要領では膨大なPDFデータ等ですぐにいっぱいになると考えられる。この点は、木更津市でも検討事項になっており、資料の保存期間、閲覧可能期間等を整備したうえで検討する必要がある。
本市での導入については、十分に可能なものではあるが、上記点を踏まえながら議会、執行部との相互協議の元導入することが必要不可欠であり、行政資料のデータ化も含め早い段階で検討を始めたほうがよいと考える。
シティプロモーション事業の推進について
1 視察の感想
藤沢市では、市民を巻きこんだPR活動を推進していた。市民が我が町の良いと感じた部分をインスタグラムや動画などを通じてPRすることにより、市民レベルで我が町への愛着を醸成することでシティプロモーションにつなげていた。その取り組みは、職員一人一人がPRマンとして意識向上を図り、職員自らが我が町の良さを発信していく活動を行っていた。
このシティプロモーションの根幹にあるのは、ミュージシャンを通じて有名な茅ヶ崎と歴史文化の豊かな鎌倉に挟まれて「知名度が低い」というコンプレックスからきた発想であり、そういった根幹があるからこそ、我が町の素晴しさを市民一人一人に伝える「対内PR」という形を生み、我が町の愛着につなげると同時に、結果として対外PRにもつながっていた。
もちろんPRに際しては、藤沢市出身や居住している有名人を活用した取り組みも見られるが、それ以上に市民一人一人の我が町への愛着が高く「自分ごと」としてPRを行っている姿に、本市にはない重要な視点を感じた。
2 視察の成果及び市政への反映など
藤沢市では、市民アンケートの結果として「市への愛着度」98%、「今後もすみ続けたい」97%といった数字が出ており、㈱読売広告社が実施した関東圏、関西圏の人口10万人以上の都市を対象とした調査で、「愛着、継続居住意向」全国1位を記録していた。
これは、シティプロモーション=対内PRの成果が上がっている証拠であり、市民が我が町に愛着を感じて生活しているということは、対外的PRポイントにもつながるといえる。事実、転入超過数は2017年1849人(全体15位)、2016年に2181人(全体14位)、2015年に2233人(全体11位)であり、今後の人口推移では2030年まで人口が増え続ける予想がされている。
こういった点に鑑みると、本市で対外PRは成功しているが、市が本来持っておりPRポイントや良さについての市民の実感度や愛着といったものの醸成にはつながっておらず、半ば市民不在のままPR活動が行われていると感じている。本市でのPR活動によって、訪れた方々が、失望や期待外れと感じさせないためには、生き生きとした市民の姿、愛着を持って過ごす市民の姿が必要不可欠であり、肉と焼酎を始めとする地域ブランドへの愛着や常習的購入、情報発信等を今以上に行うためには、やはり「対内PR」が必要であると実感した。市民が、我が町に愛着や自慢できるとする点を持ちあわせていなければ、いくら対外PRで予算をかけても本来の意味でのスマイルシティは実現しないのではないか。
こういった点を踏まえれば、移住定住者を増やすための取組として対内PRからのシティプロモーションは、本市に今一番必要とされているものであり、今後の取組に大いに反映させていかねばならい点であると考える。
議会ICTの活用と議場の利活用
1 視察の感想
所沢市では、議会側が積極的にICT化に取り組んでおり、タブレット導入をしていない行政側をけん引する形で取り組んでいることが分かった。導入が議会側になっていることから、端末の購入やwifi導入等には政務活動費が充当されていた。
議会側導入のメリットとしては、議会スケジュールや情報提供等を共有できる点であり、紙ベースではないのでスマートな情報共有を可能としていた。
また、広報活動でもそれぞれの議員の裁量によって活用されており、事務の合理化・効率化にもつながっていた。
議場の利活用に関しては、議場コンサート参加者がイコール傍聴者となるわけではなく、そういった意味では、議場の活用「知ってもらう」ことがおおきな点のように感じた。
2 視察の成果及び市政への反映など
所沢市では議会主導でICT化していたことで、行政側との溝もできている印象があった。木更津市と違い、議会側のみがICT導入を行っても、執行部が同様に行わなければその運用は、感想に述べたとおり議会のスケジュール管理や情報共有程度にとどまってしまう。
こういった点を考えれば、やはり行政側と議会側双方のICT化は必要不可欠であり、そのことが審議の合理化や効率化に一番直結すると感じた。
本市では、すべて紙ベースで行われているが、執行部側がいち早くICT化することで紙ベースからデータベースにかわり、情報入手、提供の迅速化、市民の皆様と情報共有のしやすさにつながるものと考える。
また、所沢市では政務活動費による端末導入であり、導入端末も統一されていないためあくまで議員が個人で導入するレベルであり、トラブルへの対応や破損などについても個人にゆだねられているため、本市で導入する際にはやはり共通の端末、システムの導入が欠かせないと考える。
この他、議場の利活用については、市民の皆様に議会を身近に感じてもらう取り組みとしての側面はあるものの、市政運営という視点ではその成果は難しいものであると感じた。市政並びに議会に、市民の皆様の興味関心を抱いていた頂くための取組は、本市の実情に即して検討すべきであり、そういう意味では議会、執行部相互のICT化はこの点についても有効な手段であると考える。
提出日 平成30年10月22日
視察報告書
以下のとおり視察の報告をいたします。
1 会派名及び視察者名
進政会
視察者:荒神稔、長友潤治、中田悟、川内賢幸、赤塚隆志、山内いっとく
2 視察先・テーマ及び日時
◎10月10日(水) 13時30分~15時00分
視察先:大阪府茨木市 視察内容:茨木っ子グローイングアッププラン
説明者:茨木市教育委員会学校教育部長 小川氏、学校教育推進課 尾崎参事
◎10月11日(木) 13時30分~15時30分
視察先:奈良県五條市 視察内容:ジビエの活用について、ジビエール五條
説明者:産業環境部 部長 井上昭氏、産業環境部 課長補佐 泉井伸之氏
◎10月12日(金) 9時30分~11時30分
視察先:三重県鈴鹿市 視察内容:プログラミング教育について
説明者:鈴鹿市教育委員会事務局 参事 山田純生氏、
教育指導課指導G 副主幹 青木有紀氏、平田野中学校 校長 岡野優子 氏
3 視察の内容
●大阪府茨木市 茨木っ子グローイングアッププラン
視察先に選んだ理由は、茨木市では「一人も見捨てへん教育」をモットーに、平成20年から3カ年計画で子どもたちの総体的な学力上に取り組んでおり、今期は第4次計画に入り、1次計画で小学1年生であった児童が中学3年生になるまでの期間を行ってきた第3次計画までの成果をもとに作られた新たな計画実施時期にはいり、これまでの取組実績と成果を確認し本市の学力向上等に活かすために選びました。
●奈良県五條市 ジビエの活用について、食肉加工施設ジビエール五條
視察先に選んだ理由は、五條市では捕獲された鳥獣の加工施設を市直営で建設・運営しており、3年が経過したところあり、本市でも相当数捕獲される鳥獣の現状に鑑み、少し
でも地域活性化や鳥獣被害の軽減につなげたいという考えのもと選びました。
●三重県鈴鹿市 プログラミング教育について
視察先に選んだ理由は、2020年より小学校で必修化されるプログラミング教育について、鈴鹿市では3体のロボットを導入する等、先進的な取組を本年度から3カ年計画で始めたところであり、本市でも2年後の必修化に向けた対策が急務と考え選びました。
4 視察の感想
◎大阪府茨木市
茨木市では、10年前に第1次計画「茨木っ子プラン22」としてスタートさせた、「一人も見捨てへん教育」を継続して行っており、今期は小学校1年生が中学校3年生になるまで取り組んだ第3次計画の成果を活かし、新たな取組を推進する第4次計画にはいっていました。
当初は、「ゆめ力」「自分力」「つながり力」「学び力」の4つの力を育むことから始め、現在は健康・体力向上を目指す「元気力」を加えた5つの力を大切に取り組んでおり、総総合的に子どもたちの「生きる力」を高める教育を行っていました。
事業の成果として第4次から追加された「元気力」以外の力については、事業実施に伴い成果が上がっていました。体力については、全国平均を下回っているとの説明があり、第4次計画以降の取組に注目したいところです。
全体として、義務教育の9年間を一貫したモットー基取り組んだ成果が見られ、特に学力の向上については、全国模試の結果が改善しており、背景には「正答率40%以下」の学力低位層を減らすことを一番の目標にしているだけありトータルでは向上しているという結果でした。低位層の子どもたちへの対応として、家庭との連携はもとよりソーシャルワーカーを増やすことで普段からの関係作りに努めていました。
また、第3次計画からは公立の保育園・幼稚園とも連携して、長期にわたる取り組みを始めていました。このことは、子どもたちの様子を長期的に見守り、対応を取っていくことができるため、「一人も見捨てへん教育」がこれまで以上に実行されていると感じました。
あわせて、関連予算も年々増額され、ソーシャルワーカーの増員はもとより、5年以下の教員が全体の4割を占めており、教員を毎年100名採用するなど事業への本気度が見てとれました。
本市では、各学校の取組に一任、校長による個人差が見られる中、茨木市では、各学校との連携を強化し、良い結果を出す学校、良い取り組みそしている学校の情報を共有し、まさに一体的な取組が非常に機能している印象を受けました。
残念な点として、長期計画とはいえ、学力低位層の児童・生徒を定点的長期に対応する点が弱く感じた。例えば、小学校6年生の無回答率が高いという点では、6年間取り組んできた結果としては生花が見られないともとれ、また、中学校進学とともに学力低位層の割合が増える年があるなど、改善の余地があるように思えました。
◎奈良県五條市
奈良県五條市では、鳥獣被害の減少と捕獲した鳥獣肉「ジビエ」を活かしてまちおこし
を始めていました。具体的には、国の補助金をうまく活用し食肉滑降処理センター「ジビエール五條」を建設、運営していました。
この施設に搬入されるジビエについては、衛生面や責任面の観点から市が捕獲したものに限っており、平成29年度は、イノシシについては全体の捕獲数1572頭に対し、市が捕獲したもの742頭であり、このうち301頭(40.6%)を搬入、ニホンジカは全体捕獲数397頭に対し、市が捕獲したもの154頭であり、このうち125頭(81.2%)が搬入されていました。搬入率は、47.5%であり搬入されないものは焼却処分されていました。
搬入されたジビエは、1次加工され生肉として出荷されていました。いわゆる6次産業化とは違い、ジビエを利用した加工食品はジビエールでは製造されていませんでした。ここで加工された生肉については、飲食店やネット販売など総数80事業所へ販売されていました。販売された肉については、トレーサビリティを導入しており、いつどこで捕獲され加工されたか検索できるようになっていました。
また、屑肉については廃棄されずペット用の餌を製造する企業へ販売されていました。
課題のひとつとして感じたのは、安定供給のためには全体的な量が少ないということです。これは市で捕獲したものしか搬入されない現状があり、この点の改善には、食肉への加工ができる人材の確保、育成はもとより、搬入基準の見直しが必要となってきます。
搬入量の拡大については、来年度より一般からの搬入を受け入れる計画としているようでそのための予算措置等を検討しているとのことでした。
課題の二つ目として、ジビエール五條の施設そのものが、市役所から20分程度かかる山の中腹にあり、ジビエの搬入には交通アクセスとして非常に問題があると感じた点です。
ここまでの道は中心部から1本しかなく、この夏の災害で橋を臨時的にかけるなどしており、安定した運営には問題がありました。この点の理由を尋ねたところ、施設建設についての住民の意見が様々あり、結果として町中ではなく山の中に建設することになったとの説明がありました。先の運用を考えれば、もう少し慎重な場所選定が求められたのではないかと感じました。
◎三重県鈴鹿市
三重県鈴鹿市では、プログラミング教育について先進的な取組を始めていました。民間企業の行うロボット貸出事業を行うことで、子どもたちのプログラミング教育を推進していました。この事業は、プログラミングに利用できるロボット3体をソフトつきで3年間自治体に貸し出すもので、1体あたり月額2万円の3年間合計72万円、3台で216万円のレンタル費用がかかっていました。
実際の授業では、指定のソフトを活用してロボットにさせたい動作を組み合わせることでロボットが動作するか、しないか、思い通りに動くのかをリアルタイムで確認できるので、どこがおかしいのか、間違っているのかを確かめながら作業できる利点がありました。ソフトや機器の操作は、多少個人差が見られたものの、助けあいながら取組ことで成果を上げていました。
課題として感じたことは、スマホの保有率が高いということもあるのかタイピングが苦手な子が複数見られたこと(例えば「東京」が入力できなかった)、プログラミング教育が先に行き過ぎているのかペイントソフトをうまく使えていない生徒も見られました。また、先生においてもある程度の技術が求められることから、今の時代にあった人材の育成
が必要であり、こういった点は、早い段階から対応できるような教育を行う必要性があると感じました。
5 視察の成果及び市政への反映等
茨木市の茨木っ子グローイングアップ事業については、長期的な視点を持つということはもちろん、市全体として一貫した目標の基取り組んでいくことで成果を上げており、全体の一体感が乏しい本市へのこういった視点導入は大いに重要だと感じました。
また、その目標達成のため予算増額も厭わない姿勢は大いに評価できるものでした。
さらに、全体として教育委員会と学校、家庭との連携が生きており全体的、継続的な取組、一貫した目標設定、達成までの事業推進予算の付け方等、本市でも大いに参考になるものでした。本市の教育基本計画には基本方針として「すぐれた知性、豊かな心、たくましい体」が示されています。これは、いわゆる総合力を示すものと認識していますが、学力低下がみられる本市の現状に鑑みる、茨木市のように、より具体的、視覚的、一体的、長期的なポイントもの次世代を担う子どもたちの育成を行う必要があり、世界に羽ばたく子どもたちの育成のためには、そのための予算も具体的な事業のもと付けていくべきだろう考えます。
奈良県五條市のジビエ活用については、宮崎県内でも同様の取組を実施している自治体はあるものの、施設そのものが建設され3年ということ、イノシシの捕獲数が本市に近かった(平成29年度 本市1229頭、五條市1538頭)ということで視察先に選びました。実際に感じたのは、国の補助金をうまく活用して事業化をしている点が参考になりました。ジビエール五條建設については、総事業費39313千円に対し、国の補助19787千円であり、55%の補助率で建設していました。このほか、鳥獣被害対策に係る事業について、国の補助金をうまく活用している印象でした。
鳥獣捕獲体制については、国の定める「鳥獣被害対策実施隊」に市民24名を任命(うち3名市職員)しており、本市の13名(すべて市職員)に比べて現場を把握した市民が任命されており実に機能的な取組を実施していた。
それだけに、施設への搬入が市捕獲したものだけになっている点はもったいなく感じました。この点は、次年度で改善していく方針とのことでした。
ジビエの搬入については、夏は60分、冬90分、冷蔵車2時間という時間制限があることから、捕獲先から施設までの距離、アクセスのしやすさも重要になってきます。五條市の面積は292㎢ですが、本市は653㎢と2およそ2.2倍の面積があり、鳥獣の生息域も広範囲に当たるため、搬入時間を考えると複数の施設が必要になる可能性があります。
また、施設の運営は現在、五條市の直轄で行っていますが、より商業的な運用をするのであれば指定管理も視野に運用をしていくべきと考えます。
こういった点も含め、本市ではどのような形で活かすことができるかを考える必要があり、複数ある加工施設に併設する形か、道の駅など飲食施設がある場所への併設、食肉センターを活かす方法など、様々な方法が考えられます。そのための補助事業としても、施設の建設を市が独自で行わず、地域に補助金を出す形や、ジビエ搬入の時間を考えた冷蔵車の導入補助金などを設けていく必要もあると考えます。
三重県鈴鹿市のプログラミング教育については、ソフトバンクの事業をうまく活用した面白い取り組みでありました。今回は、中学校の授業を見学することができ、導入されたロボット(ペッパー)を、生徒がどのように操作するのか、どのような設備投資が必要なのかをつかむことができました。民間企業の事業をうまく活用して、生徒の経験値を上げることは、他では簡単にできないことであり、プログラミングへの親しみやすさの醸成にもつながっていると感じました。
考えるのは、2020年から小学校で必修化されるプログラミング教育を、本市としていかに早期に身のあるものにしていくのかが課題であり、来年度中にその方針を打ち出し、環境を整えていかねばなりません。圧倒的なエンジニア不足が叫ばれている日本で、今回のプログラミング教育必修化は、大きな分岐点になると考えます。
本市では、導入するとして小学校36校(御池小休校中のため)、中学校15校の合計51台導入することになり、1体3年間72万×51台で3672万円かかることになりますので、高価なロボット導入は難しいにしても、視察地で起こった問題を確実に本市の教育に活かす必要があります。
中でも、対応できる技術者の育成・確保、大勢でログインできるサーバーの整備、大勢利用に耐えられるネット環境の導入といった問題は本市でも十分に予見されるものであり、早期に教育委員会と情報共有を図らねばならい問題です。
プログラミング教育に関連して、政府はキャッシュレス化を推進しています。今後、AIの活用、普及が今以上に進み、社会がキャッシュレス化していけば、自然とエンジニアの重要性が増してきます。本市から、優れた人材を輩出することができれば、都城が日本のシリコンバレーとなる可能性も秘めています。
こういった時代の流れも見据え、本市のプログラミング教育の構築をすべきと考えます。
視察報告書
以下のとおり視察の報告をいたします。
1 会派名及び視察者名
進政会
視察者:蔵屋保、永田浩一、永山透、相葉一夫、川内賢幸、荒神稔(11日、12日)
2 視察先・テーマ及び日時
◎5月9日(火) 14時~16時
視察先:岩手県花巻市 視察内容:起業化支援センターの取組
説明者:センター副所長 奥山俊至氏、統括コーディネーター 佐藤亮氏
◎5月10日(水) 13時30分~15時30分
視察先:岩手県盛岡市 視察内容:復興支援センター及びシェアハート村の取組
説明者:危機管理課 課長 藤澤厚志氏、
もりおか復興支援センター センター長 金野万里氏
※5月10日(水)午前中に独自で、岩手県紫波町の役場及びオガールプラザを視察
◎5月11日(木) 10時~11時30分
視察先:秋田県大館市 視察内容:公共施設の民間業者管理の取組
説明者:総務部管財課 課長 松江進氏、課長補佐 乳井康和氏
◎5月12日(金) 9時~12時
要望先:地元選出国会議員(衆議院・参議院議員会館)
衆議院議員古川禎久議員(秘書 房野忠典氏)、参議院議員松下新平議員、
参議院議員長峯誠議員
要望内容:都城志布志道路の早期完成に向けた予算確保、歌舞伎橋掛け替え工事に関する予算確保、早水アリーナ等関連施設への予算確保
3 視察の内容
●岩手県花巻市 起業化支援センター
視察先に選んだ理由は、地元起業を支援することで雇用の創出や地元経済の活性化はもちろん、意欲ある若者の県外流出の抑止策にもつながるとの考えたことから選びました。
●岩手県盛岡市 復興支援センター及びシェアハート村
視察先に選んだ理由は、後方支援拠点と位置付けられている本市にとって、南海トラフ地震発生時の沿岸部自治体からの避難者支援は必要不可欠であるため、図らずも先進的な取組をしている盛岡市の現状を把握し本市の対応に活かすため選びました。
●秋田県大館市 公共施設の民間業者管理の取組
視察先に選んだ理由は、本市では公共施設総合管理計画が策定され、今後各施設ごとの管理計画を策定する方針であるため、公共施設の管理手段として民間業者による管理は本市公共施設にも活かせるのではないかと考え選びました。
●国会議員への要望
要望については、いずれの案件も国も支援なしでは結実しがたい側面を持つ事業であり、継続的な支援と予算の確保が必要不可欠と考え、地元国会議員への要望を行ったものです。
4 視察の感想
◎岩手県花巻市
花巻市の起業化支援センターは、平成6年に開所された施設であり、内発型の新事業創出への取り組みは、昭和62年から行われておりその先見さに驚きました。具体的には、平成2年に市と花巻工業クラブが共同での地域企業調査を実施し、誘致企業と地域企業の評価等を踏まえ「ベンチャー支援」を前面に打ち出し、誘致企業と地場企業の「融合」、地域企業の「意識改革」といった命題を掲げ取り組んできた事業でした。
センターは、施設内にはレンタル研究室8室、開放試験室5室、情報交流室、会議室、及びレンタル工場棟(全13棟)等を有する施設であり、施設全体の入居率は平成28年度末で72.2%、総従業員数は168名という実績を上げており、施設内で導入されている機材については、3Dプリンターを始め、3次元測定器、大型環境試験室等がありました。
施設の入居希望については、空きが出ればすぐに次が決まるという人気ぶりで、施設需要の高さを感じました。ただ、入居については、実績を上げることや雇用を生むこと等厳しい審査基準を設けており、一定期間入居希望者と議論、もみあいをしたうえで決める手法をとっており、審査の段階で断念する希望者もいるほど厳格なものでした。
この他、岩手大学ものづくり技術研究センター花巻サテライトも同施設に入居しており、先進的な研究がおこなわれていました。
また、入居企業のみのコーディネートに留まらず、市内企業すべてを対象にコーディネート活動を行っており、リアルタイムな情報発信も心がけていました。いちばん印象に残ったのは、センター開所の段階で5年、10年の取組ではなく、20年、30年取り組んでいくというコンセプトで事業化した部分でした。実際に施設にまつわるコストの数位を見ると、開所13年で元を取り現在は、建設+運営コストよりも入居企業による税収総額が上回っている状況でした。
「やるからにはやりきる」というスタート時の気概とプロパー職員(人事異動なし)の配置といった取組が結実している事業でした。
◎岩手県盛岡市
復興支援センターは、市役所の真向かいに開設されている施設で市外の震災被災者のケア、支援、交流を目的とした施設でした。平成28年度末で587世帯、1216人が登録をしており、年々減少しているものの故郷に戻る人と戻らない人の割合は50%程ということでした。被災者の構成は、岩手県内が大槌町や釜石市を筆頭に10市町から、宮城県、福島県からの避難世帯もおられました。現在の世帯状況は、587世帯のうち、みなし仮設で生活されている方が221世帯と最も多く、他に居候や不明といった方もいる状況でした。
センターでの取組として、「お茶っこ飲み会」と称して被災者交流の機会を設け、そこからカラオケサークル、囲碁サークル、手芸サークルといったサークルに移行しながら、交流を深めていました。全体として女性の利用割が多く、男性が少ないため、囲碁将棋サークルを新設して取り組んでいました。
また、訪問支援を行っており著しく生活が困窮している「要支援」世帯及び要支援よりやや軽度な支援が必要な世帯「定期訪問」については、全体の35%を占めている現状でした。必要としている支援の種類としては、求職が46.3%、心理的支援(傾聴を含む)38.8%と高く、6年経過した今でも故郷を離れて生活することの難しさを感じました。
シェアハート村については、UR都市再生機構から無償譲渡を受けた住宅であり、復興支援学生寮、復興支援シェアオフィス、復興支援コミュニティカフェ、から構成されており、家賃は無料、電気・水は手だしという運営をしていました。学生寮には現在16人が利用、シェアオフィスは9団体となっていました。
今後の運営については、平成30年度までが取組期間に設定されている点、土地そのものは公園として整備する都市計画がなされている点から、今後検討を要する大きな課題となっていました。
◎秋田県大館市
大館市の公共施設は、平成17年の合併を期に施設管理数が大幅に増えたことから、公共施設の統廃合による用途廃止施設が増加する結果となりました。合併時には幼稚園2園、小学校23校、中学校10校を有していましたが、現在は幼稚園0園、小学校17校、中学校8校となっています。背景には、類似施設の増加もありますが、合併後から平成29年5月1日時点で人口が約1万人減少していることも要因としてありました。
貸付については、現況貸し付けとなり改修等は事業者が行うため現地確認を行った後、貸付もしくは売却という流れでした。
利用状況は、山芋の皮むき作業所、比内地鶏加工や新商品開発工場、ドローン販売・操作教習と幅広い利用がなされています。
利用条件条例で定めており、中でも正社員1名以上の新規雇用や地域貢献の項目については今回新たに追加されたものでした。
民間利用施設の多くは学校施設が多いが、学校については地域住民の思い入れが強いため、地元住民と協議しながら取り組んでいる様子が見て取れた。
【会派独自】
◎岩手県紫波町
紫波町は、PFIやPPPを活用して役場や複合施設、図書館を新設しており、本市の中心市街地再生計画の先進事例として会派で視察を組んだものです。年間80万人が訪れる施設です。
役場を含む一帯は、オガールプロジェクトとして民間主導でスタートしたものであり、役場については、PFIで新築、官民複合施設では図書館部分を市が買い取る形で運営されていました。敷地内には、地場産品販売所や医院、居酒屋、塾、カフェ、パン屋、バイオマス発電と、実に多くのテナントがはいっており、宿泊施設まで備えていました。
朝9時の時点で、すでに駐車場は満車であり、産直販売所やパン屋、図書館など多くの人出が見られました。
また、このプロジェクでは住宅分譲地も合わせての計画であり、すでに多くの新築住宅が軒を連ねていました。行政機能、生活機能をいっぺんに併せ持つ中心部再生の成功モデルでした。
5 視察の成果及び市政への反映等
花巻市起業化支援センターの取組そのものは、基幹産業との関係を考慮すると本市でそのまま活かせるというものではなかったが、六次産業を推進している本市としては商品開発や研究、製造所といった分野においては六次化支援センターとして整備できると感じました。市内のある一角で六次化推進拠点とすることで、本市のPRのみならず農林畜産業の今後を支えていける拠点となる可能性があると思います。
ただ、本市で取り組むとなれば花巻市と同じように、20年、30年先を見ながら行うべきであり、プロパー職員の配置も考えなければなりません。特に、プロパー職員については、農林畜産分野、六次化分野、観光分野、においては本市でも導入の必要があると感じています。
盛岡市復興支援センター、シェアハート村については、後方支援拠点となる本市の場合、同じような機能を有した施設の整備が必要だと強く感じました。沿岸部からの被災者を受け入れ、支援サポートする体制の構想を今のうちから取り組んでおかなければ、いざ被災者を受け入れるとなった際に、的確なサポートができない可能性があります。類似施設の拠点をどこにするのか、どういう体制で臨むのかしっかりと考えておく必要があります。
本市でも考えておきたいのが、被災者の交流はもとより、被災者が受け取る情報の一本化、分かりやすい情報の発信が必要だということです。研修では、被災者には行政を始め多くの案内が届くため、情報の管理が煩雑になりすべてを把握できないといった事例が紹介されました。そのため、情報をまとめて広報誌にすることで、分かりやすい情報発信に取り組んでいました。この点も含めて、本市でも取り組んでいく必要があると考えます。
大館市の公共施設の民間事業者管理は、公共施設総合管理計画を策定した本市でも施設管理の手法の一つとして考えられる事業であり、参考になりました。大館市の場合は、学校施設の民間利用が主ですが、食品製造業が多く、六次産業の更なる発展を考えた場合、可能性はあると感じました。指定管理と違い、施設貸付または売却のため事業者が自由に施設を利用できる点も魅力的でした。
課題として、貸付期間終了後継続しなければ再び空き施設になる点、山間部の施設は募集しても希望者がいないといった点がありました。これは、本市でもいえることであり、現在、山間部施設の四家中学校の利用者が決まらない現状と同じです。こういったマイナス点を少しでもなくすには、施設の利用を行政側が提案していくこと、施設の利用について事業者の自由度を上げること等が考えられます。
公共施設の統廃合や再利用は、今後本市の大きな課題の一つでもありますので今回の研修を参考に適宜提案していきたいと思います。
視察報告書
1 会派名及び視察者名
進政会
視察者:蔵屋保、永田浩一、永山透、相葉一夫、荒神稔、長友潤治、川内賢幸
2 視察先・テーマ及び日時
◎11月9日(水)14:00~15:30
視察先:新潟県加茂市 視察内容:高度な福祉の水準の更なる充実について
◎11月10日(木)13:00~15:30
視察先:福島県喜多方市 視察内容:小学校農業科の授業について
◎11月11日(金) 9:00~10:30
視察先:山形県米沢市 視察内容:市営住宅塩井団地建替え事業について
3 視察の内容
●新潟県加茂市 高度な福祉の水準の更なる充実について
視察先に選んだ理由は、加茂市が平成7年より「福祉のまち日本一」を掲げており、時代背景に合わせ、更に水準を高める努力をしている点から視察先に選びました。
●福島県喜多方市 小学校農業科の授業について
視察先に選んだ理由は、本市の就農者高齢化や就農人口の減少による基幹産業の衰退が懸念される背景を鑑み、小学校において独自に「農業科」を創設し取り組んでいる点から視察先に選びました。
●山形県米沢市 市営住宅塩井団地建替事業について
視察先に選んだ理由は、本市でも老朽化する公共施設が多数あり中でも市営住宅は市民生活に密接にかかわっており建替えなどの時期に来ている点から、PFIを取り入れて事業を行った点から施設先に選びました。
4 視察の感想
◎新潟県加茂市
「日本一の福祉のまちを目指す」というスローガンのもと、全国に先駆けて福祉にかかわる「市民負担の軽減」を中心に据えて、「やるためにはどうすればいいか」という視点から入るという考え方は見習わねばならぬ点だと感じました。
本市で平成26年4月より導入している「骨髄移植ドナー支援事業」を全国でいち早く導入し平成23年7月から導入しており、本年から導入した「不妊治療費助成」についても平成17年4月から導入する等、取り組み事業のすべてが本市の先を行っている点に非常に驚いた。子どもの医療費助成についても平成8年から実施しており、無料という形ではないが入院については食事代まで助成される仕組みでした。
また、医療費助成には多く制度を設けており、「妊産婦医療」「ひとり親家庭等医療」「重度心身障害者医療」「老人医療」「精神障害者入院医療」「特定不妊治療」など多岐にわたっていました。
ただ、市長の執行権によるところが多く、人口規模の違う本市で実現可能かと言われれば相当に考えねばならないと感じました。
◎福島県喜多方市
小学校農業科の授業は、当初、事業の先に就農人口の増加を狙いとしているのか考えたが、実際には農業活動を通じて「豊かな心の育成」を図ることを目的として行われていることが分かった。その成果についても子どもたちの「未来をみる力」を養う、できる限り苦労をさせることで感じるものを大切にしている点が印象深かった。
また、農業科の授業を通して、家庭での会話上昇や優しい子どもの増加、いじめの減少や自閉症の子どもの改善等、当初予定していなかった結果が見え始めている点も興味深かった。
ただ、事業を行うに当たっては地域の「支援員」の充実や協力、教員の負担は避けることできず赴任者の理解を得るのに苦労をしている背景も見てとれた。
◎山形県米沢市
本市では平成29年度より施行される公共施設管理計画でもネックの一つと考えられる市営住宅建替問題ですが、米沢市では市単独ではなく民間活力を導入したPFI方式で建替えに挑み3棟を完成させていました。平成17年度に策定した「米沢市行財政改革大綱集中改革プラン」においてPFI事業導入を決定しており、平成21年度から取り組んでいました。PFI事業を選んだ目的は、コスト縮減効果、財政支出の平準化、地元企業の活性化の三つが主なものでした。実際に、市自らが取り組んだ場合に比べ、2000万円程経費を縮小することに成功していました。
また、VFM(value for money:支払いに対して最も価値の高いサービスを供給するという考え方)についても従来型よりも高い数値を示していました。
本事業の特徴としては、BTO方式(Build・Transfer・Operate:事業者が建設し所有権を公共に移管したうえで、施設の運営を行う)により長期20年にわたり管理することから、財政の平準化が図れること及びその費用が民間事業者にサービス対価として支払われる点だと感じました。
ただ、複数棟の建設、維持管理となると、それぞれ別事業者での取組では一貫性やデザイン等、各事業者の色を出しづらく、結果として3棟とも同じ事業者が3法人を立ち上げ管理している現状でした。
5 視察の成果及び市政への反映等
新潟県加茂市の「高度な福祉の水準の更なる充実について」は、全国の自治体が直面している諸問題にいち早く取組み、市長の権限をフルに生かした前進型の事業遂行には他に例を見ないパワーを感じました
まず始めに、高齢福祉への各助成制度の充実について、スポーツ施設、温泉、特別養護老人ホーム建設、在宅介護・看護支援センター等この20年で多くの箱モノを建設しており、すべて直営で行っていました。背景には、消費税のからみがあり一度は第3セクターとして運営したものを直営に戻す等の取組が行われていました。
さらに、ヘルパー派遣手数料、訪問看護利用料、訪問リハビリ利用料を無料化しており、本年国でも話題になっている私立保育所保育士と公立保育所保育士の給与是正のため、私立保育士の給与を一人月額1万円助成する等先進的な取り組みを行っていました。
この他にも、数え上げればきりがありませんが、本市への反映を考えた場合には財政的に可能かどうかネックとなってきます。加茂市の「やるためにはどうすればいいか」という考えは、本市の池田市長の言う「できない理由ではなく、できる方法を考える」と同じであり、これは市政を運営するなかでどこに重点を置いた政策をとるのかというとこにつながると考えます。加茂市の例でいえば、市民サービスの充実、福祉の高水準化に重点を置いていることは明らかでした。そのため、土木事業にしわ寄せがきており、道路の維持管理や上下水道の整備に遅れ等が生じていました。現に、市役所前の道路はつぎはぎだらけでとても中心部の走る道路とは思えない程でした。
しかし、これは市民が何を望んでいるかという中でバランスではなく、「日本一の福祉のまち」という1点突出を掲げた市長の「色」でもあり、執行権を持つものとしてそういうやり方もあるわけです。財政的な不安を覚えましたが、公債負担比率は本市よりも低く、直営事業についても黒字計上ということでした。
次に、福島県喜多方市の「小学校農業科の実施について」は年間で35時間、総合的な学習の時間に行われており、3年生から6年生まで履修すると140時間にのぼる。取組の良い点は、総合的な学習の時間を使うというところであり、別途設けるのとは違い年間事業数の枠の中で取り組んでいけるという点です。3年生、4年生では、作物の世話から土づくりや苗づくりと取組を本格化していき、5、6年生では食育にもつなげていました。
本市で取組をするうえでは、指導する支援員の存在が重要になってきます。喜多方市では全17校で90名以上の支援員を登録しています。中心となっているのは児童の祖父母ということで、授業を進める中で祖父母への尊敬の念も生まれているそうです。本市におきかえた場合、やはり祖父母の皆さんが支援員として協力してくれれば第一の条件はクリアできそうですが、圃場の用意や整備等、実質的な負担も大きくなります。また、1授業当たり2時間を目安とすれば、移動は往復30分が限度であり、学校のそばに安定して利用できる圃場の確保が必要となってきます。
さらに、本市に置き換えた場合、基幹産業である農業の衰退と就農人口の減少、高齢化とも合わせた取り組みをするのがベストであるとも考えます。喜多方市では、園芸作物に限って授業していますが、本市では畜産がメインですので、そのあたりのカリキュラムを構築していくことになります。このような点から、多くの農家の理解、協力なしでは事業展開はできないと考えます。
しかし、事業への取組目的の一つ「豊かな心の育成」は本市にも共通する部分であり、実績として家庭会話の上昇や優しい子どもの育成、いじめの減少、自閉症の子どもの好影響など取組から得られるものは多くあります。本市独自の、風土に合った形に昇華させることができれば、基幹産業の未来にとって明るい材料になると考えます。
最後に、山形県米沢市「市営住宅塩井団地建替事業」については、PFI事業という民間活力を活かし、地域産業の涵養、財政の縮減、安定した予算編成を行える点で本市でも取組できないか検討の余地はあると感じました。本市では、公共施設管理計画が29年度に施行されるに先立ち、公共施設マネジメント基本方針を公表しています。その中では市営住宅等が103棟存在しており、消防施設の107棟に次ぐ多さとなっています。住宅という性質から、老朽化対応や耐震等は喫緊の課題であり安定したクリアな管理計画が待たれるところです。
これらの問題の解決の一つとしてのPFIですが、結論から申しますと市が自ら行う場合と比べて、著しいメリットは見受けられませんでした。確かに、事業額縮減やVFM数値、長期的な予算の平準化等はメリットとしてあります。
一方で、20年に及ぶ管理会社の設立や複数棟を発注する際に、全体的なバランスのとり方、設計等から、初回の業者以外が取り組みにくいという現状があります。この点を改善するには、BOT方式(資金調達を含めた建設、運営を資金回収後に公共へ移管)やBOO方式(建築、保有、運営)等の別方式に取り組むことで違う未来が見える可能性はあります。いずれにしても、莫大な予算が見込まれる市営住宅の更新事業です。103棟のうちいくつかをPFI方式で取り組んでいくのも検討の余地はあると考えます。
事業の視察で面白いと感じたのは、各3棟に高齢者様の部屋がそれぞれ8つ設けられており、24時間体制で状況を把握できるシステムを導入している点でした。敷地内にはシルバー人材センターから派遣されたLSA(ライフサポートアドバイザー)が日中待機しており、部屋の異常を感知するシステムで状況を確認や、住民の相談にのるなどの取組をしていました。これは、市単独ではなかなかできない部分だと感じました。一方で、土地柄の違いもあるかもしれませんが、敷地内の整備が行き届いているとは言い難い部分も見受けられ、棟ごとに違う管理会社が運営する方式の難しさも感じました。
これらの点を踏まえ、29年度施行の公共施設管理計画の内容も精査しながらPFI事業の可能性を今後も模索していきたいと思います。
議会運営委員会行政視察報告書(感想等)
委員名 川内 賢幸
☆視察及び日程
・10月31日 埼玉県所沢市
・11月1日 東京都町田市
1 視察の感想
埼玉県所沢市では、議会改革に対する先進的な取り組み、堅実な取り組みを学ぶことができた。議員主導で取り組んできたということが説明の内容から伝わり、開かれた議会、身近な議会を目指して様々手法を講じていた。中でも、議員自らが自己評価を行い公表する評価制度は本市議会でも行っていくべきと感じた。この他、ICTや議会報告会の充実、政策討論会の実施等意欲的に取り組んでいた。
東京都町田市については、ICTの導入によりタブレットの活用や委員会のインターネット中継を行う等、議会の「見える化」が進んでいた。また、請願の取り扱いについては、議会のみで議論せず、その請願の実現性について担当課より説明を受け審議している点もより踏み込んだ審査を可能とするものだと感じた。この他、新人職員の議会傍聴の導入や議会報告会に代わるものとして、各種団体との意見交換を実施している点、審議した議案を「議案のカルテ」として公表している点も今後の本市の取組の参考になった。
2 視察の成果及び市政への反映など
成果としては、議会としてどうあるべきかなのかということを改めて考えさせられた。具体的には、議会改革を進める上で「市民の皆様にとって身近な議会」となるように取り組んでいるかという点に尽きる。個人的には、都会より地方の方が市民との距離は近いだろうと考えていたが、議会傍聴者や報告会等への参加を見るに、市民参加では圧倒的に本市は遅れていた。
では、その原因は何なのか。議会報告会は参加者が少ないのでやめようという声もあるが、議会改革をする上で、自ら閉ざしていくスタンスではなく、少なければどんどん歩み寄っていくスタンスの重要性を感じた。議会一丸となって取り組むことができていないと個人的には感じており、そのあたりを改善することにより充実した議会運営、市民に開かれた身近な議会となると考える。
情報の発信というものについては、受動的な情報発信ではなく積極的な情報発信を心がけ、市民の声が市政に届く、議会に届く、キャッチボールができる取組を今後は「本市の風土に合った形」で模索していくべきだと思う。
そういう意味では、委員会の中継や議案審査の過程を示していくことは議会がどのような役割をしているのか理解してもらう身近で取り組みやすい部分であると考える。また、タブレット導入によるペーパーレス化、データ化は持ち運べることで市民とのやり取りの際にすぐに提示できるなどのメリットもある。
この他、各種団体との意見交換の実施や議員間の政策討論会といったものはやろうと思えばすぐにできるものでもある。現在、広報広聴の在り方を議論している最中なので、新しい本市の議会の在り方、発信の仕方、議会の見える化、議員の見える化を今後推進していくために、一丸となった議論を展開していくことが重要だと考える。
総務委員会行政視察報告書(感想等)
委員名 川内 賢幸
☆視察及び日程
・10月19日 千葉県習志野市「習志野市公共施設再生計画」
・10月20日 千葉県千葉市「ちば市民協働レポート」
・10月21日 千葉県君津市「文化のまちづくり市税1%支援事業」
1 視察の感想
初日の習志野市「習志野市公共施設再生計画」においては、これからの公共施設管理においてどのような姿勢で臨むべきか、その視点、方法を学ぶことができた。習志野市では平成15年度より段階的に公共施設管理について段階的に議論、整備を続けており、公共施設について細かに分析を重ねたいた点に問題の重要性を改めて感じた。
2日目の千葉市「ちば市民協働レポート」においては、ICTの導入により先進的な市民参加による市の問題点把握方法について学ぶことができた。スマホアプリを活用した取り組みには、その手軽さと取り組みやすさなどが市民権を得ており、道路補修や環境整備などの維持管理に対応していくこれからの行政の形の一端を見ることができた。
3日目の君津市「文化のまちづくり市税1%支援事業」については、市民生活全般にかかわるすべての分野においてを対象としており、タイプ別に事業対象を分けることにより取り組みやすくわかりやすい事業となっていた。本市の地域振興基金と同じ特色を有しており、今後の参考になった。
2 視察の成果及び市政への反映など
◎習志野市「公共施設再生計画」
本市においても公共施設管理計画が29年度から運用されることに際し、どのような段階を踏んでいくべきか、どのような点に注意しながら今後の公共施設を管理していくか参考になった。特に、現在把握している公共施設の維持管理にかかるコストをコンサルに依頼して細かく分析している点、そのデータを職員が入力するなど情報の共有化と責任を負う点、本市でいうまちづくり協議会と似た組織であるまちづくり会議に市職員を多数参加させるなど協働の取り組みを積極的に推進している点など、非常に好感が持てた。共通意識として「自分のまちの実態を知らずに市民サービスは不可能。自分のまちの声を聞こう、自分のまちを知ろう」というスローガンのもと業務に臨んでいる点など、より市民との距離が近い行政運営は参考になった。
◎千葉市「ちば市民協働レポート」
市民からの要望に対しICTを生かした先進的な取り組みをしており、行政と市民とが一体となってまちづくりに臨む姿に、大都市でも地方都市でも関係のなくわがまちをよくしたいという気持ちに地域差はないのだと感じた。本市で臨むに当たっては、スマホを利用した協働のまちづくりが本市のスマホ利用者の現状と合致しているか、その運営体制、担当職員をどのように構築するかなど課題がたくさんある。今後、本市での導入にあたっては地域状況を分析し臨んでいくべきと考える。
◎君津市「文化のまちづくり市税1%支援事業」
平成20年度から実施しており、その特色は本市の地域振興基金と似ているものだった。事業の支援期間が5年となっており、最長でも5年を過ぎると自助努力によって事業を継続していかなければならず、事業によっては補助がなくなったのと同時に継続できなくなるケースもあり、これについては本市の地域振興基金でも同じ問題があげられる。一方で、この8年間で事業参加者が述べ28000人となっており、その効果は間違いなく地域の活性化に寄与するものである。本市においては、地域振興基金に変わる新たな事業が構築されるとの説明もあり、次年度以降、継続的で、発展性のあるものにすべく今回の視察を参考に取り組んでいきたい。
研 修 報 告 書
以下のとおり研修の報告をいたします。
1 会派名及び受講者名
進政会 川内賢幸
2 視察先・テーマ及び日
◎5月20日(金)全国災害ボランティア議員連盟研修受講
場所:東京都千代田区永田町2丁目1−2 衆議院第二議員会館
内容:「東日本大震災から5年」 講師 南三陸町長 佐藤仁 氏
「測位衛星を用いた新しい地震予知」 講師 東大名誉教授 村井健治 氏
3 研修報告
今回の研修では、東日本大震災からの復興に取り組んでいる、南三陸町の佐藤町長による5年間の取り組みと経験から学んだ防災への取り組みについての講演を、さらに、東京大学名誉教授であり㈱地震科学探査機構顧問でもある村井俊治氏による測位衛星を用いた新しい地震予測の現状と課題、熊本地震のケーススタディについて講演を受けた。
まず、佐藤町長の講演では、防災庁舎屋上へ避難した際の悲惨な状況を被災庁舎の映像とともに聞くことができた。避難者のうち40名以上が犠牲となり、町長を含む10名が「たまたま」非常階段側へ飛ばされ生き残ったというエピソードには、複雑な心情が伝わってきた。また、「首長は、後ろ、下を見ない、元気のない姿は見せない」という言葉に政治家として琴線に触れるものがあった。
災害を通じての教訓として、コミュニティの崩壊からの再構築と仮設住宅から引っ越す問題、劣悪な環境となった避難所の環境改善の問題、仮設住宅建設場所の問題、国庫補助金の問題、災害対策本部の問題などを伺うことができた。すべて実体験からの教訓であり、全国共通の問題として問題解決の糸口を学んだ。
次に、村井教授の講演では、テレビでも放送され話題を集めていた測位衛星を利用した地震予測について、これまでの実績と地震予測の根拠、仕組みなどを学ぶことができた。地震と活断層の関係など、新たな視点を伺うことができた。
4 研修成果と市政反映
【佐藤町長の講演から得た成果について】
○コミュニティ崩壊からの再構築と仮設住宅からの引っ越し問題
災害で自治会などが破壊される。復興に向けて当時と同じコミュニティでの復興を進めようとするも、避難所や仮設住宅などで新たに築かれたコミュニティでの復興を望む人々がでてくるため、そこへの対処をどうするのか。南三陸の場合は公営住宅へ移ってもらい、新しいコミュニティで再スタートを選択した人が多かった。
○避難所での生活環境改善への問題
避難所不足や、一か所あたりの避難所過多によって劣悪な生活環境となり、ストレスなどが溜まってしまうなど悪い状況が生まれる。改善のため、山手で被害の小さかった旅館やホテルに協力を依頼し、無償で部屋を提供してもらった。しかし、「町を追い出すのか」と批判が噴出。それでも、1800人ほどが案を受け入れ、反対していた利用者も翌朝には評価が変わっていた。
○仮設住宅建設場所の問題
仮説の建設は、学校などのまとまった土地を有する公有地が最優先。その後、民有地を借り上げて足りない仮設住宅を建設していった。だた、まとまった民有地では相続登記が更新されておらず大規模調査となるケース、所有者がすんなり提供してくれないケース、いざ工事に入ると遺跡がでてしまう文化財の問題などが挙げられた。文化財については、通常2年の調査を1年に短縮して行うなどの対応を取っていた。
○国庫補助金の問題
国では、復興予算として多額の国庫補助金が確保され、自治体としていくら必要かという申請額は通る。しかし、申請額にのっとりいざ使うとなると査定が入り時間がかかってしまう。
○災害対策本部の問題
災害対策本部を設置したが、各自治体への連絡や状況把握に時間がかかってしまった。反省として、災害対策本部に地域の代表である議員がいなかった点を挙げていた。教訓として、議長、副議長を入れるように改善。あわせて、様々な面で女性の視点が不足しておりいろいろと問題になった。ここでも、女性を災害対策本部に入れることにより改善を図っていた。
これらの問題解決に向けた対応は、そのまま本市にも反映できると考える。
【村井名誉教授の講演から得た成果】
○新しい地震予測
測量の専門家として活動している村井教授は、地震の前に地球が異常に動くことを発見し測位衛星からの地震予測を始めたということだった。
日本には、測位衛星から測量している電子基準点が1300か所存在しており、この情報をもとに地震予測をしているとの事だった。
○電子基準点を利用した地震予測の問題点
国土地理院の電子基準点のデータは、2日遅れで開示されるため、2日前に大きな変化が見られても2日後しか確認ができず、地震予測が遅れてしまう。
改善策として、自前で2基設置、NTTドコモとの共同プロジェクトによりドコモ電子観測点を16か所設置した。
自社設置の2基は1時間遅れでデータ閲覧が可能であり、ドコモ電子観測点はモバイル通信でリアルタイムに情報を提供することが可能。
より正確で確かな予測をするには電子観測点を増やす必要がある。仮に、本市に電子基準点を1基設置するとすれば、半径50km圏内を測位できるため防災などへの活用が期待できる。1基当たりの設置費用は500万円。
問題点としては、自治体としてむやみやたらに市民に公開することができず、公式な判断としての活用は非常に慎重に行う必要がある。
この点から、本市での設置は現状を十分に研究したうえで判断していく必要があると考える。
5 感想
研修を終え、あらためて東日本大震災のすさまじさを思い知らされた。本市は、海に面しておらずコミュニティそのものが消失するという事態は少ないかもしれないが、避難所生活や仮設住宅を通じた新しいコミュニティの構築、認可など考えておく必要がると感じた。
また、仮設住宅を建設する際に登記簿問題や文化財発掘問題については遺跡の多い本市でも十分に想定できる問題であり、災害発生の際の対応を国、県などと事前に協議をしておく必要性も感じた。
災害対策本部については、本議会の場合、大規模災害対応マニュアルが策定されており行政との連携を図る仕組みとなっているので、その時にしっかりと機能していくよう取り組みしなければならない。
測位衛星を利用した地震予測については、最新の地震予測をいかに公の情報として扱えるか、活用していけるのかを考えさせられた。南海トラフ地震発生の可能性が高く、その際の後方支援拠点として機能を果たす本市にとって、訓練は勿論、日ごろの備えという意味でも重要な情報になると感じた。
さらに、本市に地震科学探査機構の電子観測点を1基設置した場合、50kmの測位が可能となり1時間の遅れで情報を入手できるようになる点は魅力的に思える。ただ、国土地理院との連携を通じて情報の早期入手が可能となることを考えると、その内容を十分に精査する必要もある為、慎重に研究を重ねるべきではないかと考える。
以上を踏まえ、今後も後方支援拠点として本市が最大限活動できるように調査研究を重ねていきたいと思う。
視察報告書
1 会派名及び視察者名
進政会
視察者:蔵屋保、荒神稔、長友潤治、川内賢幸
2 視察先・テーマ及び日時
◎5月2日(月)10:00~12:15
視察先:宮崎市佐土原 工業技術センター等
視察内容:フードオープンラボ視察、焼酎研究施設(実験棟)視察、SPG関連技術説明
6次産業化意見交換会
◎5月2日(月)13:30~14:50
視察先:宮崎市花ヶ島町 社会福祉法人キャンバスの会
障がい福祉サービス事業所「はながしま」、はながしま診療所
視察内容:医療型の障がい者短期入所施設
◎5月2日(月)15:10~16:20
視察先:宮崎市芳士 多機能型児童発達支援事業所「日向の杜」
視察内容:児童発達支援事業、放課後等デイサービス
3 視察の内容
●フードオープンラボ等視察
視察先に選んだ理由は、本市が進めている6次産業化の先進的な施設であり、今後の6次産業化に向けた取り組みへの参考になるものと考え選びました
●障がい福祉サービス事業所「はながしま」、はながしま診療所
視察先に選んだ理由は、社会福祉法人が運営する医療型の短期入所施設は全国初であり、その実態やニーズ等を把握するため視察先に選びました。
●多機能型児童発達支援事業所「日向の杜」
視察先に選んだ理由は、教育現場で増え続ける発達障害等を抱えた児童への支援を行う施設の状況や社会的な理解を深める観点から視察先に選びました。
4 視察の感想
◎工業技術センター
工業技術センターでは、6次産業化を進める上で重要な商品開発のサポートを行っている食品開発センター「フード・オープンラボ」の視察では、商品開発と試験販売に欠かせない試供品の製造を、徹底した衛生管理と充実した器具を利用し行える環境について本格的な6次産業化を目指すために重要で手軽な施設であり、本市の取組を推進していく上でも重要な施設であると感じました。
焼酎研究施設では、県産焼酎の麹菌について説明を受け、特許取得と製品化について学び、派生的に6次産業化製品の開発にもつなげていけることが分かりました
SPG関連技術については、本市に大量にあるシラスを用いた新技術の開発により企業誘致や医療分野における先進的な取り組みにもつながっており取り組み次第では本市の産業開発や企業誘致に結び付けることができるのでは感じました。
6次産業化意見交換では、販路開拓についての相談が多く寄せられている現状等が報告され、製品を開発、製造してからのハードルの高さを改めて実感しました。
しかしながら、県の取組については手厚く親切なサポート体制が構築されており、今後も県と連携しての6次産業化が欠かせないものであると改めて認識しました。
◎障がい福祉サービス事業所「はながしま」、はながしま診療所
障がい福祉サービス事業所「はながしま」では、県内の需要に対して施設の少なさから
その重要性を改めて認識しました。社会福祉法人が行う医療型短期入所施設としては日本初の事業所でもあり、その運営においては苦悩が感じ取れました。福祉型と今回スタートした医療型では、90%以上の方が医療型を利用しておりそのニーズの高さに驚きました。
類似施設が県内にあるが、無料で送迎を行っているのは当事業所のみであり、付添いの看護師や負担を考えると、自治体からの補助を検討してほしいとの要望もありました。家族で施設まで送迎をするよりも、充実した車両、スタッフのもと利用できる環境が新に望まれており、その解決も大きな課題であると感じました。
◎多機能型児童発達支援事業所「日向の杜」
多機能型児童発達支援事業所「日向の杜」では、就学前特に0~3歳までに児童発達支援を利用することの重要性を知ることができた。日向の杜の取組においては保護者が一緒に通園することで、子どもへの接し方や発達に大切な力を育てる過程を施設と保護者がともに歩める環境づくりをしている点が印象的でした。
また、放課後等デイサービスの内容においても、支援教室が設けられない背景から、普通教室でともに学習しないといけない児童の苦悩や、その環境に適応していくための様々取組を見聞きし、発達障害を抱える子どもたちへの接し方、対応等を含め施設の重要性を改めて感じました。
5 視察の成果及び市政への反映等
フード・オープンラボ等や六次産業化意見交換で感じたのは、連携の重要性としっかりとした「産業」に育て上げるための環境の整備の必要性でした。市政への反映としては、これまで以上に連携を密にすることはもちろん、製品開発がすめば終わりではなくいかに継続性のある商業体として昇華させることができるのか、成功事例をいくつもふやし、文字通り「産業」として大成するまでの手厚く親身な体制を今後より一層構築していけるように引き続き取り組んでいきます。
障がい者福祉サービスについては、そのニーズの高さから施設の必要性を感じた。一方で、運営や受け入れ体制などハードルは多く経営体の想いと家族の想いを自治体としてどのような形でサポートしていくのがベストなのか改めて考えさせられた。本市の当該施設利用対象者の方については、日南の施設を利用する方が多く、その送迎も家族で行っていることを考えると、「はながしま」のように無料送迎の必要性とそのサポートについて自治体として踏み込んだ取り組みが求められると感じました。
発達障害の児童に対する取組については、施設の重要性を感じるとともに、その認定や保護者の理解といった別の問題も存在していることに改めて問題を感じた。本市のおいても教育現場における特別支援学級の増加は気になるところであり、理解とサポート体制の充実を図っていく必要があると感じた。特に、「理解」という意味では、正しい知識と接し方、対処を対象保護者のみならず広く理解を促していくことで、誤解や孤立感を払しょくし、自治体として一体的な取り組みができる環境整備に取り組んでいく必要性を感じました。
1 会派名及び視察者名
進政会
視察者:蔵屋保、永田浩一、永山透、相葉一夫、荒神稔、長友潤治、川内賢幸
2 視察先・テーマ及び日時
◎2月17日(水)13:30~15:30
視察先:福岡県北九州市 視察内容:リノーベーションによるまちづくり
◎2月18日(木)10:00~11:30
視察先:大分県豊後高田市 視察内容:CATVを使った安否確認及び緊急通報システム
3 視察の内容
●福岡県北九州市 リノーベーションによるまちづくり
視察先に選んだ理由は、本市が大丸跡地再生を軸に中心市街地再生に取り組んでいる最中であり、先進地である北九州市の現状の把握並びにタウンマネージャーの二宮氏の実績もあることから選びました。
●大分県豊後高田市 CATVを活用した安否確認システム及び緊急通報システム
視察先に選んだ理由は、本市にもあるケーブルテレビを活用した事業であり、超高齢社会に突入した社会の中で注目すべきものと考えたことから選びました。
4 視察の感想
◎福岡県北九州市
北九州市の視察では、官民一体となった取り組みの重要性を改めて認識できました。もともと、長距離アーケードと旦過市場を有し人通りが多い場所であったため、リ・イノベーションによるまちづくり成功は、人の多さがもたらしたものだと考えていました。
しかしながら、人通りはあっても空きビル、空き店舗が発生している各地の現状を改めて見つめ、人が集まる街づくりの難しさを実感しました。
また、遊休不動産の活用という点においては先進地ということもあり魅力的な取り組みが多数あり、そのすべてに若者の存在がありました。成功の背景に「若者の抱く思い」と「遊休不動産の活用」をマッチングした点があるのだと思います。
◎大分県豊後高田市
本市のケーブルテレビが民間事業者であるのに対し、豊後高田市では行政が行っているケーブルテレビ事業であり、指定管理において運用をしている点が大きく異なっていました。そのため、娯楽的要素が少なく電波障害対策や情報格差是正の色合いが強く、加入時には市職員が営業活動をしたとの説明もありました。そういった背景があり、加入率90%という高い数字が維持できており、安否確認システム及び緊急通報システムの運用しやすさにつながっていました。
ただ、運用の中身については本来の「安否確認」として役立った事例は全体の0.05%、緊急通報システムについても、正規通報は全体の3%となっており、運用の難しさもかんじました。
5 視察の成果及び市政への反映等
リノベーション事業については、中心市街地の賑わい復活のためには欠かせない事業であると改めて感じた。特に以下の点においては具体的に方針を示していくべきだと感じました。
1. 不動産オーナーの協力の必要性
この点は、本市でもたびたび克服すべき課題として話題に上っていましたが、北九州市の成功事例を目の当たりにし、真に賑わいを創出するために利益でなく協力をしてくださるオーナーの存在、説得が必要不可欠である点。
2. 遊休不動産の多様な活用方法
活用する遊休不動産は、ワンフロワー貸切るような借り手は少なく、一つのフロワーを複数のオーナーが間借りしていくというスタイルであった。一坪や二坪の店舗が多数存在していた。また、スモールオフィス・シェアオフィスという活用も見られた。
3. 若者の「したい」にこたえる
北九州の事例を拝見し感じたのは、若者の存在。棚子のほとんどが若者であり、その活用方法も店舗を開きながらも、生活の糧とするわけではなく趣味の域を出ない活用方法がほとんどであった。いわゆる「緩い開業」である。
しかしながら、この活用方法は一坪でも「自分の店舗を持ちたい」「事務所を持ちたい」という夢をかなえることができる画期的な方法でもある。遊休不動産を利用することで、若者のビジネス展開の入り口を作ることにもなっていた。
以上のような点を踏まえ、本市でも中心市街地の今後の在り方を本市の形と考えで築き上げていくことが急務であると感じました。若者が自然と集まる環境が、多世代の交流にもつながっていく一つの方法であることを示している北九州の事例は本市でも活用できるはずです。ただ、若者が日常的に中心市街地界隈に存在するのかしないのかという視点でいえば、本市の場合には中心市街地の若者はあまりに少ないため、南九州大学周辺であれば可能性はあるように思います。
いずれにしても、官民一体となって本気で取り組むことが中心市街地再生につながると考えます。上記点を踏まえ姿勢に反映させることができるよう取り組んでいきます。
次に、CATVを活用した安否確認システム及び緊急通報システム事業についてですが、豊後高田市の高齢化率は36%と本市の29%よりも高い背景がありました。80歳以上では80%がサービスを利用しており、事業の有用性がわかりました。
まず、安否確認システムにおいては午前4時~午前9時までの間に赤外線センサーの前を通過することで情報が通知され、その情報を社会福祉協議会で確認し、反応が見られない場合には対象者宅へ伺う仕組みでした。これまでの実績は、全体の以上確認は1212件となっており体調不良や死亡確認につながったものが7件ありましたが、全体の0.05%にとどまっていました。
また、緊急通報システムにおいても26年度は198件の通報に対し、正規通報は6件と全体の3%にとどまっておりました。
本市の規模で、両システムの普及と実施を行った場合、同じような正規対応件数であれば、膨大な誤報対応に追われることになり多くの問題が予想されます。そのほか、センサーの確認時間が午前4時から午前9時のみの反応となっており、反応確認時間後すぐに異常が見られても翌朝の確認となるなどの課題もありました。
しかしながら、本市での事業展開として、例えば、市営住宅にいる独居老人の方を対象にするといった方法も考えられることから可能性としては今後も模索していく必要がると考えます。
◎視察内容:宮崎県和牛共進会
会場:児湯地区家畜市場
日時:平成27年10月27日 10:00~16:00
1 視察の感想
口蹄疫終息以降、初めての児湯地区での開催ということもあり、会場での防疫対応も含めて県の現在の体制を視察することができた。
当然のことながら、県内各地から出品者並びの関係者が大勢来場する大会であり、本市で開催の場合の参考にもなった。
一方、大会の出品牛の成績については西諸地区が優勝、各部類でも上位を占める成績を出した点、会場での取組・応援体制等、すべてにおいて本市よりも優れて見えた。
これまで、全国共進会に都城からの出品を目標に予算計上し取り組んでいるが、簡単な道のりでない事も改めて感じた。
2 視察の成果及び市政への反映など
他地区の取り組み状況や、熱意、行政の応援体制等を直に見ることができ、今後の参考になった。
まず、会場の体制については口蹄疫終息後初めての児湯地区大会であり、防疫体制に注目をしたが、通常通りの体制で基本を押さえたものであると感じた。口蹄疫終息後、5年の際月が経っているので当時のようなピリピリとした防疫体制ではないのは当然かもしれないが、大勢の来場者がある大会にしては、「消毒徹底」という空気は薄く感じたのも事実である。海外での口蹄疫発生は依然として見られることから、本市での開催時はもちろん今後の防疫体制についてもう一度考える時期ではないかと感じた。
次に、出品者の待機場所については、会場の性質もあるとは思うが、狭く行き来しにくいと感じた。開催が一日で終了ということもあるかも知れないが、もう少し動線とストレスの軽減を考えた配置ができないものか今後の課題を得た。
最後に、全国和牛共進会に向け日本一の牛を都城からを目標に予算計上している本市であるが、他地区との差、特に西諸との差をまじまじと見せられる形となったと思う。あくまで、個人の視点ではあるが、都城地区から西諸地区に入った時の雰囲気、牛への関わり方、応援体制、どれをとっても開催地が西諸地区かと思うほどの熱意を感じた。牛そのものについては、系統やそれぞれの牛のポテンシャルもあるので一概に言えないが、牛も人が作ることを考えれば、やはりこういった差が最終的には結果につながるのだろうと感じた。
今後は、行政、議会、JA、農家等とより一層の一体感と熱意、気合を持って取り組まなければ二年後の全国大会出場、ましてや日本一は遠いものである。本市の事業が一過性のもので終わらず、今後も肉と焼酎日本一のまちとなり続けるため今回の視察を市政のさらなる発展につなげることができるよう反映させていきたい。
1 視察先・テーマ及び日時
◎10月22日(木)13:30~16:00
視察先:北海道函館市
視察内容:公共工事の適正化に向けた取り組み、函館アリーナについて
◎10月23日(金)13:00~15:00
視察先:北海道千歳市
視察内容:防災学習交流センター「そなえーる」
◎10月24日(土)10:00~17:00
視察先:北海道安平、札幌
視察内容:全日本ホルスタイン共進会、北海道酪農パビリオン
2 視察の内容
●北海道函館市 公共工事の適正化に向けた取り組み及び函館アリーナについて
視察先に選んだ理由は、市外業者の参入が見られる公共事業発注に対し、公共工事の地元業者、資材等を積極的活用に長年取り組んでおり、本市との比較を通して今後の入札全般に関わる新たな取組、改善などを模索するためです。
また、函館アリーナについては、今年8月に完成したばかりの体育施設であり、現在建設を進めている本市の早水体育文化センターのサブアリーナ等の建設、利活用に向けたより良い取組を提案するため視察先に選びました。
公共事業の入札については、10月1日に会派研修を行うなど今後のあり方について随時理解を深めているところであり、明瞭簡潔な入札制度のあり方と、地元発注、地元調達、地元雇用といった問題解決に向けた取組を学ぶことができました。
この取組は平成13年度から始まっており、全14項目にわたり適正な工事施工に向けた留意事項が決められていました。
特に、労務費については「現金支払い」とする旨や確実な支払を求める旨が記載されており雇用者の安心確保の意味でも目を引くものでした。また、地元業者の活用、地元資材の優先的使用についても明記されているなど適正な工事施工はもちろん、安定した経済圏域の確立に向けた取組方針であり、地域活性化にも繋がると感じました。
次に、函館アリーナについては、早水体育文化センターのサブアリーナ建設中の本市にとって、施設規模や活用方法など具体的な施策に向けた取組を学ぶことができました。中でも本市定例会で議論された「武道場」については類似施設であり、柔剣道等の実施方法について参考になりました。
施設の管理運営については、旧来からの管理団体と新規参入団体の2団体が共同で行うスタイルで、隣接する市民会館管理も含め臨機応変に行っている様子が見て取れました。この管理運営についても、昨年から定例会で議論されてものであり、市民の皆様にとって一番良い形を提供するための手段の一つとして検討の余地があると感じました。
●防災学習センター「そなえーる」について
視察先に選んだ理由は、全国的な防災意識の高まりはもちろん、後方支援拠点としての本市の在り方、市民意識の向上、啓発の観点から選びました。
施設の運用開始は平成22年からであり、現在5年が経過しているが施設内容に遅れを感じることはなく、充実した施設だと感じました。千歳市の特徴として陸上、航空など3つの自衛隊駐屯地を抱えており、当該施設は平成14年度の防衛施設周辺地域の発展を目的とした国の高額補助制度を活用して整備された施設であり総事業費21億円の施設でした。
施設の特徴は、地震、火災、避難を体験できる設備が整っている点であり、いざというときにどのように行動すればよいのかを、実際に体験できることから、市民の防災・減災意識の向上に大いに役立つものだとわかりました。
この他、施設面積が8.4haを活用し、自衛隊や自主防災組織、関係団体と合同での大規模訓練も行っており、「災害を体験し、学びそして備える」をモットーにいざというときのためへの様々な取組が見て取れました。年度ごとの施設利用状況は、開設から本年9月末現在で延べ利用者数が268,928人であり、前年度までの年間平均利用者数は47,307人、月あたり約4000人の利用となっています。このことからも、市民の防災意識の高さを感じました。
●全日本ホルスタイン共進会について
視察先に選んだ理由は、次回大会が都城で開催することが決定したことを受け、全国規模の大会を開催するにあたり、開催地としてどのような運営方法、取組、企画、配慮が必要となるかを学ぶ観点から選びました。
全国各地から関係者が集まるということで、会場は多くの方で賑わっていました。会場自体も北海道らしく、広大な土地を活用した施設でした。
1周間ほど前から牛を搬入するということもあり、出品者の寝泊まりの場所、搾乳場所、手入れ場所、牛乳の搬出・破棄場所など、牛と人のストレスを軽減する点からも、動線をうまく配置しなければならいことがわかりました。
一方で、会場まで、会場内でのアナウンス不足が感じられ本市開催の際の大きな課題の一つと感じました。
また、本市との決定的な違いは施設面積であり、多くの出展ブース、出品者、来場者の駐車場をいかに確保していくのかを大きな課題として認識しました。
その他、北海道酪農パビリオンでは北海道庁そばにて、大型スクリーンによる共進会中継や、トラクターなどの農機具展示、牛乳販売、スタンプラリーといった取り組みが見られ、共進会の盛り上げに寄与していたことはもちろん、街中をパビリオンの開催場所、サテライト基地に選定したことで、大会の盛り上げはもちろん、観光PRにつながっているように見えました。
3 視察の感想
3泊4日の研修で、長距離移動、初冠雪に多少予定変更を迫られましたが、狙い通りの視察研修を行うことができたものと感じております。
函館市の研修では、施設規模が違っても建設完成までの取組、運用開始後の取組、管理など本市のスポーツ施設運営のあり方に活かしていけるものが多く、気づいた点を昇華させよりよいものになるよう今後も行政と連携して進めていく必要性を感じました。
千歳市の防災学習交流施設の取組についても、自助・共助から始まる自主防災への取組喚起からの自主防災組織の増加、災害に強いまちを目指すことがもたらす効果を改めて感じました。特に本市は、大規模災害の際には後方支援拠点として動くことから、拠点地域の防災意識向上は、今後の大きな課題であり、今回の視察を通してこの点をより一層強化していく取組が必要不可欠です。
全日本ホルスタイン共進会については、施設規模こそ違えども、そこをいかに本市の状況に当てはめ、臨時的な対応、既存施設の最大限活用、来場者への配慮、観光や本市PRへの策略など、5年後に向けての様々な課題を認識できました。
今後、行政、JA、農家、関連団体などと意見交換を積極的に行い、最高の大会運営が取れるように議論を深めていくことが大切だと感じました。
4 視察の成果及び市政への反映等
函館市の公共事業の適正化に向けた取組は、本市の運営と照らしながら、補完、提案していくことで、事故を防ぐとともに地元経済の活性化に寄与するものになると感じています。
函館アリーナについては、一部同規模の類似施設で、最新ということもあり、数年後に完成する早水体育文化センターの新施設を含めた、一体的、横断的な管理運営方法を模索、提案していくことで、施設の最大限運用につながるよう取組んでいきます。
千歳市の防災学習交流施設については、類似施設を本市に建設するということは現実的ではないと感じていますが、防災・減災の本質、理論、取組はいかなる場合でも違いはなく、その基本に則りながら、後方支援拠点としてのあるべき姿、災害に強いまちづくりをより一層推進していくため、今後も行政等との連携を図っていきます。
全日本ホルスタイン共進会については、単に全国規模の大会を本市で行うということにとどまらず、地域経済の活性化、畜産振興、観光振興につなげていけるように、堅実かつ多角的な取組を提案していけるよう、更に調査研究していきます。
最後に、今回の研修が今後の市政の発展、振興に生かしていけるよう引き続き会派一丸となって取組んでいきます。
全国災害ボランティア議員連盟研修報告
1 視察先・テーマ及び日
◎10月13日(月)・14日(火)
研修:広島県広島市 広島国際会議場
視察:広島市安佐北区、安佐南区
内容:広島県の砂防、土砂災害のハード整備、自主防災組織、みんなで防災
2 研修報告
今回の研修では、平成26年8月20日に発生した土砂災害を中心に学んだ。ニュースなどで災害の状況は把握していいたものの、その詳細については知ったのは今回が初めてであった。
広島県が経験した土砂災害は、今回が初めてではなく遡れば、昭和20年枕崎台風の2022人のぼる死者・行方不明者、集中豪雨の被害においては昭和47年7月に発生した災害、死者・行方不明者159人に始まり、以降、昭和47年7月、昭和63年7月、平成11年6月、平成22年7月、平成26年8月20日と度々発生しており、集中豪雨による死者行方不明者の延べ人数は323名にのぼる。
また、平成11年6月の死者・行方不明者32名を出した災害では、全国的に土砂災害に関する法整備への機運が高まり、翌年の土砂災害防止法成立へのきっかけともなっている。
ここで疑問に思うのが、これほど集中豪雨による土砂災害対する経験値が高いにも関わらず、昨年、集中豪雨により75名もの死者・行方不明者を出さねばならなかったのかという点である。多くの犠牲を出してきたにも関わらず、なぜ経験が行かされなかったのか疑問であったが、研修を通じてその背景がわかった。
・背景① 広島県が抱える地形
広島県は土砂災害危険箇所(土石流危険渓流・急傾斜地危険箇所)ともに全国1位であり、他県に比べて平地が少ない。故に、平地が自然と商工業地や農地となり住居は斜面側に広がる形となった。
・背景② 地質
これは、昨年の災害時に話題になったが、地質が花崗岩質であり「マサ土」が地質的な特徴であり、土石流や斜面崩壊が起こりやすい。実際に、触れてみたが非常にさらさらしており、本市の地質とは明らかに異なるものである。
大きく以上のような背景に加え、今回は短時間で集中的に大量の雨が降ったこと、深夜に災害が起きたことなどがあげられる。
特に、今回の集中豪雨ではバックビルディング現象(積乱雲が次々に同場所に発生する現象)によるものと言われており、この現象の発生を予測することは困難とされている。
3 研修成果と市政反映
では、どう対処していけば良いのかという点だが、最終的には日常の防災・減災意識の向上という点に行き着くと感じた。実際に、広島県ではこれまでの経験から自習防災組織が多数形成されておりその重要性への理解も高いものである事がわかった。何より、今回の災害時には、自主防災組織の働きにより最小限の被害にとどまった地区も見られた。
本市においても、この自主防災組織の結成について公民館に説明をしているが、地域の高齢化や結びつきの弱体化により思うように進んでいないのが現状である。これまで以上に、自主防災組織の重要性と結成に取り組み大規模災害時に備えていくことが非常に重要であると感じた。特に、本市においては南海トラフ発生時には後方支援拠点として機能することから、本拠地の防災・減災の取り組みは喫緊の課題であり、今後も行政、地域へ働きかけを行っていく必要がある。
4 感想
研修を終え、広島県がこれまでの悲惨な経験を元に先進的かつ堅実な取り組みを行ってきたことはすぐに解った。一方で、変えられない地形、地質との戦い、頻繁に起こらない災害への黙認が、暗黙の了解として内在しているように思われた。
被災地域の安佐北区・南区を見た感想は、とても被害が起きそうな地形には見えないというのが第一印象だった。山と言っても、テレビで見るよりも低く200m~300m程度であり、その斜面も本市の山々と比べて特別に急斜面というふうには見えなかった。
しかしながら、山を覆う雑木の多さとその木々の細さが目についた。さらに、現場で触ったマサ土の地質に災害のおきやすさを肌で感じた。
研修と通じて一番驚いたのは、テレビでも度々放映された安佐南区の現場において、家屋損壊の被災者が、すぐそばに新築を建てなおしていたところだった。もちろん、1階部分は鉄筋コンクリートで造るという基準を満たしたうえではあるが、被災場所の空き地に建築した様をみると、外の人間にはわからない古くからの意識、考えが根付いているとわかった。
最後に、被災地を直接目にしたことで、災害への備え、防災・減災についてはその土地柄によるところが多く、その風土で培われていくものが大きいのだとわかった。かといって、他地域の経験、復興をその土地のものとして見るばかりではなく、根本的な部分を学び本市の特徴に合わせた対応、対策を取っていくことが求められ重要であると認識した。
今後、後方支援拠点として本市がその機能を十二分に発揮していいけるように、これまで以上に働きかけを行っていきたい。
【写真解説】
住宅街の写真は、 被災地の安佐南区の写真。中でもアップで写っている写真の中央にある2階建ての新築が、山際で被災し新たに建築された住宅です。
堰堤は安佐北区のもの。掌のマサ土は同現場で積まれていたものです。写真でもサラサラしているのがわかります。
産業経済委員会行政視察
◎日程:平成27年7月8日~10日
視察先:秋田県潟上市、栃木県宇都宮市、東京都江東区
視察内容:秋田県潟上市「6次産業化推進事業及び都城市との交流事業」
栃木県宇都宮市「都市の魅力創造事業」
東京都江東区「マイクロ水力発電設備設置事業」
1 視察の感想
初日の秋田県潟上の「六次産業化推進事業及び都城市との交流事業」については、物産館を中心に、敷地内の温泉施設、運動施設の利用客を各施設に訪問させる努力がなされており、利便性の高さを感じた。また、農聖・石川理紀之助を縁とし本市と産地間交流を行っており、その効果も見てとれた。
二日目の栃木県宇都宮市の「都市の魅力創造事業」については、主にスポーツと餃子を活かした創造事業がなされており、特に本市でもキャンプを張る栃木SCを始めとするスポーツチームを活かした取り組みが目立った。
三日目の東京都江東区の「マイクロ水力発電設備設置事業」については、都心でありながらも、水を活かし水と共に暮らす取組がなされ今回の事業につながったことが分かった。また、想像以上に住民の皆様が川に親しむ姿も印象的だった。
2 視察の成果及び市政への反映など
秋田県潟上市の物産館では、六次産業をうたっているだけあり施設内の売り場から加工状況が見える工夫がしてあった。地産地消並びに食品の安心安全の観点からも魅力的な手法であると感じた。また、メディアを通じた戦略もあり宣伝方法の重要性を改めて認識した。集客の方法については、同敷地内にある温泉施設、運動施設の利用者をそれぞれ取り込むことで一体的な利用増に力を入れており、本市に置いても近い形をとれるのではと考えた。
また、産地間交流のきっかけとなった農聖・石川理紀之助の活用については、本市の比ではなく、検定を行う等大いに郷土の偉人を活用しようとする取組があった。本市でもこの縁を最大限に生かし、産地間交流のより一層の充実はもとより、子どもたちの交流を進めることで心豊かな子どもたちの育成に役で当てることができると感じた。
栃木県宇都宮市では、地元で抱えるスポーツチームを最大限に活用し魅力発信につなげようとする取組があった。特に、本市でもキャンプを張る栃木SCの試合の際には、観戦ツアーを企画し観光客を誘致、その際、地元の農業体験や観光名所巡りを組み込むなど魅力創造に取り組み姿が見てとれた。本市でも、これまで以上にキャンプ誘致を促進し、更にはキャンプに来た団体を本市の魅力創造と観光客誘致に利用する姿勢がより一層必要だと感じた。また、宇都宮市が取り組んでいるスポーツ団体と連携して行っている介護運動については、本市キャンプの際にぜひ行っていただきたい事業であり、市民と選手との交流の場にもなると確信した。
東京都江東区の「マイクロ水力発電設備設置事業」については、川の水質の良さでは地方に部があり、川への親しみ度は都心では低いだろうと思っていたが、水質にかかわらず都市が抱える川を活かし、川とともに生活していこうとする姿に驚いた。お世辞にも川そのものがきれいとは言えないが、その川をとにかく活かそうとする姿勢に、自然に恵まれ過ぎて活かしきれていない本市の実情を目の当たりにした。マイクロ水力発電そのものは、発電量も少なく売電も少ないが、水彩都市を掲げる江東区の川をアピール資源としての活用には、本市も見習うべき点が多々見受けられ、観光資源や魅力発信の観点からも本市の自然を最大限に活用していく方法をこれまで以上に研究していくべきであると感じた。
視察を通して、改めて本市の魅力、産業の創造、自然の利活用の必要性を感じることができた。今後の市政に大いに反映させていきたい。
【視察先・テーマ及び日時】
◎5月14日(木)13:00~15:00
視察先:佐賀県伊万里市
視察内容:伊万里図書館の運営について
◎5月15日(金)10:00~12:00
視察先:九州電力玄海原子力発電所
視察内容:発電所の運営と安全への取組み
【視察の内容】
●佐賀県伊万里市 伊万里図書館の運営について
視察先に選んだ理由は、中心市街地に図書館が移転することに絡み、新しい図書館運営を改めて考えるためです。
伊万里市の図書館については、近くの武雄図書館と比較されることもありどのような図書館なのか非常に興味がありました。
実際に訪れてみてまず感じたのは、天井を高く取ったことによる開放感と目線の高さでおさえられた低い本棚でした。図書館のイメージとしては、薄暗い空間に高い本棚とぎっしり詰められた本の数々というのがこれまでの認識だったので、そのスッキリした見た目はひと眼見ただけでも利便性の高さがうかがえました。
なぜこのような図書館を作ることになったのか。答えは、ゼロから行政と市民が一緒に作り上げた図書館だということでした。それは、建設予定地の市民参加視察に始まり、建設途中での市民参加視察、新規開館後の市民参加型の取り組みの数々が、現在に至るまでの図書館友の会の自主的な取り組みなどに活かされてつながっている、だからこそ第一印象で「良い図書館だ」と素直に感じた理由だと考えます。
取組等については、図書館ボランティアの事業を始め、市民主催の集会活動がこの五年間だけでも年間500回~800回、参加のべ人数は年間1000人~2300人に及んでおり、市民と図書館の距離が非常に近い事がよくわかりました。また、ビジネス支援の展開として利用者の希望聞き取りから結果までをサポートする「レファレンスデスク」を設けている点では、図書館にある本で学習や研究を進めることで特許や免許取得につながった物もあり、図書館の可能性を感じました。
この他様々な取り組みを、行政主導ではなく市民主導で行ってきている点が非常に敷居の低い親しみやすい図書館につながっていることが分かりました。何より、建設時の目標「伊万里をつくり・市民とともに育つ・市民の図書館」が20年たつ今なお生き続けていることが伊万里図書館の運営成功につながっておりとても参考になりました。
●九州電力 玄海原子力発電所の運営と安全への取り組みについて
視察先に選んだ理由は、この度、玄海原子力発電所の1号機の廃炉が決定したことを受け、その要因と今後の運営、安全への取り組みを理解し隣県の川内原子力発電所の再稼働について理解を深めるためです。
巨大な発電施設に常時千人を超える従業員がいることを始め、万が一への対応方法や日常の警備態勢、安全策などを学ぶことができました。
特にテロへの対応やもしもの緊急事態に備えた取り組みについては、自主消防組織と定期的な訓練、県警の施設内常駐、沖からの警備など目の前の穏やかな海とは裏腹に非常に緊張した空気が施設には流れていました。基本的な対応については川内原子力発電所と同じということであり、説明の度に川内原発の件に触れていただいたことも理解につながりました。
廃炉の決まった1号機については、安全性などの点から関連設備を数年前に総入れ替えをしたにもかかわらず、国の安全基準を満たすためには更に莫大な投資と工事が必要とのいうのが要因であると同時に、国の定める安全基準がいかに厳しく高い安全性を求めているかというのが分かりました。
世間的には、反原発が叫ばれているが玄海原発の周辺でそのような看板や運動を目にすることはなく、施設に隣接する棚田や穏やかな自然がこれまでの原発と自治体、住民との関係を表している様にも感じました。
【視察の感想】
1泊2日での研修視察ではありましたが、意図したものを得ることができたと思います。ただ、諸事情により立ち寄るにとどまった武雄図書館の行政説明を受けることができなかったのが残念でした。この他、原子力発電所の必要性、立地自治体との関係性等は現地で刻まれた歴史があり、周辺地域で感じるそれとは別なものがあるように感じました。
視察で学んだことを、中心市街地成功につなげることができる様、また、原発問題についても引続き思案してまいります。
【視察の成果及び市政への反映等】
視察先の選考には、本市の現状を踏まえて行いました。これから新たな図書館を運営することになる本市にとりまして、対照的な二つの図書館を見ることができた点は非常に大きく、図書館本来の姿がどうあるべきなのかをしっかりと考える機会を得ました。今後も完成に向けた取り組みの中で、しっかりと市民の皆様の意見が反映された愛される図書館となるようしなければなりません。また、原子力発電所の問題についても、現地の状況や自治体や住民との関係性等、十二分に把握したうえで慎重に判断をして行くべきであり、感情論で片付く問題ではないことも改めて感じました。
今回の研修が、今後の市政の発展に生かしていけるよう引き続き会派一丸となって取組んでいきます。
平成27年2月19日に、都城北諸県鳥獣被害対策チーム同伴の元、山之口町の永野地区、川内地区、正近地区の現地視察を行いました。
【考察】
視察地域では、シカ・サル・イノシシの被害が甚大であり駆除も追いつかない現状がある。民家地区では鉄砲ヶ使えないため、猟友会では罠を、住民についてはロケット花火等で対応をしているが地域の高齢化や神出鬼没の鳥獣に手を焼いているのが現状である。
対策とし電柵の補助金や正しい防獣ネットの設置などが挙げられるが、地域全体、まち全体を鳥獣被害に強いものとするためには抜本的な対策の必要性がある。今後も関係機関と連携しながら、鳥獣被害対策に取り組んでいく。
平成27年2月17日に、スポーツ議員連盟に置いて現在整備が進められている早水体育文化センターの概要と現状を把握するため研修を行いました。
【考察】
スポーツランド都城を目指す意味でも、充実した設備をプラスする事業であることはもちろん、南海トラフ地震などの大規模災害時の後方支援施設にもなる観点から、粛々と進めるべき施設改良であることを改めて感じた。
施設規模は現施設に隣接する形でサブアリーナや武道場、大弓場が新たに建設され、駐車場も従来より拡大整備する予定となっている。
平成30年の県高校総体に向けてなんとしても予定通りの完成を期待したいところである。
平成27年2月13日に、平成21年、22年に実施された事業である耕作放棄地再生利用緊急対策事業の現状について個人視察を行いました。本事業では、再生利用の進んでいる場所、失敗している場所があり今後の農地利用の観点から視察を行ったものです。
1 考察
事業がうまくいっている場所では、しっかりと農地が利用されており事業の成果が見てとれたが、失敗している地区については、事業計画の甘いものを認可している点や耕作放棄地とはいえ利益を上げるには厳しい環境の場所もあり当時の認定基準に疑問を抱いた。
しかしながら、この事業については担い手が不足している農業の現状を考えると有効な事業であったことも分かる。今後も増え続けると予想される耕作放棄地をどのような手段で減少させ、活用していくか早急な対応を考えねばならいと感じた。
27年1月27日に、所属する産業経済委員会にて管内視察を行いました。
視察先目的は、行政事業の確認と施設の適正管理等についてであり、視察先は林業総合センター、都城公設市場、高城町大井手・穂満坊地区工業団地です。
1 視察の感想
林業活性化センターは、現在指定管理にて森林組合が管理しており、若手林業担い手の研修や地域住民への開放により健康増進施設としての役割も担っていることが分かった。
公設市場では、26年度事業に置いて施設内の電球をLEDかしたことによる効果と利便性を確認した。
大井手・穂満坊地区工業団地については、コスモス薬品物流走行の規模、雇用体制等を確認し、穂満坊地区については造成状況の確認を行った。
2 視察の成果及び市政への反映など
林業総合センターについては、築年数が経過し外観や内部の修繕が増えて着ている現状が見受けられたが、大ホールは地域住民の皆様のスポーツ、余暇施設としても利用されており引続きの利活用促進が必要だと感じた。
公設市場については、施設全体の老朽化は否めないがLED証明を導入したことにより大幅な経費節減となっていた。しかしながら、市場の駅の建物は老朽化、風化が激しく多くの来場者を受け入れるには改善の必要性があり、今後の課題としてリフォームや建て替えも視野に入れるべきだと感じた。
工業団地については、大井手地区は大手一社で埋まる結果となったが、造成中の穂満坊地区は1社が決まったのみであり、今後、雇用拡大に向けても更なる企業誘致を進めるなど課題もあるため、引き続き連携を取りながら取り組まねばならない。
10月21日~23日に産業経済委員会にて行政視察を行いました。
視察先は奈良県橿原市・滋賀県湖南市・大阪府堺市で、視察内容は観光と自然エネルギーについてです。
1 視察の感想
初日の奈良県橿原市の「かしはらナビプラザ」については、駅前に位置しており利用のしやすさを感じる施設であった。観光、物産のみならず旅行センター、子育て支援センターや市民相談、市民活動交流広場などアクセスのしやすさも相まって地域の基地局となる点も興味深かった。
二日目の滋賀県湖南市のコナン・ツーリズムでは全国に先駆けて地域自然エネルギー条例を制定しただけあり、意欲的な取組が見られた。行政だけではなく地域、市民、教育機関等が自然エネルギーの活用に積極的に取り組んでいると感じた。
三日目の大阪府堺市の着地型観光については、交通アクセスの良い街という点で本市と共通した部分もあり、同じような課題を抱えていると感じた。しかしながら、ワントップサービスと題して行政が積極的に取り組んでいる点で、着地型観光成功への意気込みが見てとれた。
2 視察の成果及び市政への反映など
かしはらナビプラザに置いては、その性質上本市の中心市街地の未来像に共通する部分、参考にしたい部分などもあり参考になった。特に、子育て支援センターの取り組み、観光、物産、旅行の一体的な運営は本市でのブラッシュアップの必要性を感じた。
子育て支援センターでは、市内観光やショッピングの合間での短時間預かりを実施しており育児の負担を軽減する取組が目立った。また、手作りのおもちゃを活用する等あたたかい取組もみられた。本市でも、子育てする側、サポートする側の正しい視点で事業を行うことの重要性を改めて認識するとともに、今後の子育て新に反映させていく必要がある。
観光、物産、旅行の取り組みについては、堺市の着地型観光とも共通するが、「ここに来れば一発で解決する場所」が必要であるという点である。橿原市に置いては、ナビプラザを設置し、市内の観光はもちろん、周辺地域の観光案内や旅行案内等が一カ所で済む点が優れていた。駅前に立地していることもあり、移動の際に物産を購入できるなど使いがってもよさそうであった。
堺市においては、行政がトップとなり市への観光客誘致を進めるとともに、協力する団体などに補助を出すなど、一極集中でありながらも、地域、団体との連携をしっかり取っている点が参考になった。また、地域観光ボランティアの活用は、本市の関之尾語り部と似ており、より広域的に実施している点で街ぐるみの観光誘致色が出ていた。
これらの点を踏まえ、利用しやすい、手間が少なくて済む、まちぐるみの盛り上げ方など、本市の観光事情に反映すべき点が見えた。
滋賀県湖南市のコナン・ツーリズムについては、自然エネルギーの活用にいち早く目をつけ、税金を主体とせず寄付で発電事業を行っている点で優れていた。特に、発電に応じた配当が受けられる点では自ら「ふるさと納税」する様なシステムで、市民の参加もしやすいものと感じた。このほか、芋を使った芋発電や小水力発電の実証調査を行う等、さらなる自然エネルギーの活用に取り組んでいた。特に、太陽光の新規開発が難しい本市に置いては、後川内ダムで検討されている小水力発電や、焼酎王国である本市の芋事情に活用できそうな部分もあり一定の成果を得ることができた。
7月30日、31日に議会運営委員会にて行政視察を行いました。
視察先は千葉県市川市・岐阜県恵那市で、視察内容は電子表決システム等についてです。
初日に視察をおこなった千葉県市川市議会の導入している採決表示システムについては、非常に先進的で直感的に分かりやすいシステムであると感じた。議場ディスプレイへの表示情報もわかりやすく、本市の現状と差異は少ないように感じました。
二日目の岐阜県恵那市のシステムは、本市導入予定のものと類似しているということでより現実的な運用方法を確認できました。
どちらのシステムも、導入することで市民の皆様にも分かりやすいシステムになっている点、ハイビジョンカメラの導入により時代にあった鮮明な議会中継系を行っている点において本市への導入の必要性を改めて感じました。
まず、電子表決システムの導入は視覚的に議員の可否が分かりやすく記録をする意味でも非常にスマートな議会運営が可能になることがわかりました。あわせて、これまでの記名・無記名投票に加え、電子表決が追加されることで状況に応じた多様な方法を選択できるようになる点も大きい。その場で各議員の賛否が表示されることから、市民の皆様にも分かりやすいシステムです。
次に、ハイビジョンカメラの導入ですが、これまで多くの市民の皆様から議会中継の映像に関するご意見を頂戴してきた背景があり、デジタル放送時代にあった議会中継が可能となることは、議会への関心にもつながっていくことも分かりました。
今回の視察を踏まえ、本市に新たに導入されるこれらのシステムが適切に運用されるように、視察で学んだ点を活かしていかねばなりません。特に運用していく上で、トラブルに対する対策マニュアルをしっかりと作り上げることが必要を感じました。開会中でのトラブルは、議会の円滑な進行を妨げるだけでなく市民の皆様への説明責任も出てくることから慎重に進めなければなりません。
いずれにしても、これらのシステムを導入することで、これまで以上に開かれた議会、分かりやすい議会にしていけるよう努力してまいります。
6月議会終了の翌週から、所属する市民同志会並びに友好会派の進政会の議員8名で会派合同研修を行いました。研修期間は6月23日~6月26日の3泊4日の日程で、訪問先は北海道の4市を視察研修いたしました。内容は下記の通りです。
6月23日 視察先:苫小牧市 視察内容:まちなか再生総合プロジェクトについて
視察先に選んだ条件として、本市の抱える大丸跡地などまちなか再生問題に通ずるところがあり人口規模も十七万人と本市と近い条件であったこと、駅前に位置する大型店舗が閉店になっていることなど。
◎視察で分かったこと
まず第一に、人口規模は本市と変わらないが苫小牧市には中山間地域がなく、面積も本市653㎢に対し561㎢と狭い地域に集約されて人口密度が高い市であり、30代.40代が人口の半分近くいる若い市でした。基幹産業は、工業であり王子製紙をはじめとする大型工場が多数あり港も併せ持つ恵まれた環境でした。
しかしながら、駅前の大型店舗は閉店し、郊外の大型ショッピングモール周辺へ住居が増えていく現象が
起きており、本市に通ずる問題点も多数見受けられました。
平成23年度からの取り組みで、町中の歩行者通行量を抑制するためのイベント等を意欲的に行い一定の成果を得ていました。
また、本年度4月には、まちなかに市営住宅を移転させ120戸を要する市営住宅が完成していました。その他、市の公式キャラクター「とまチョップ」を随所で利用しさまざまなまちなか活性化プロモーションを行っている点も参考になりました。
いずれにおいても、まちなかの賑わいを取り戻すために市が率先して問題解決に取り組むのはもちろん、商店街の協力、市民の理解が非常に高いように感じられ、市民一丸となって問題解決に取り組んでいることが分かりました。
6月24日 AM 視察先:滝川市 視察内容:未来へつなぐ市民力推進事業補助金
PM 視察先:札幌市 視察内容:六次産業活性化推進事業補助金
◎視察で分かったこと
【滝川市】
滝川市では、平成22年度より「未来へつなぐ市民税1%補助金」事業を展開しており、年度当たりの事業費は平成24年度までは、年度当たり500万の補助金を地域活性化活動へ助成していました。実際には、市民税1%とすると予算額1500万になるが、財政状況から500万が限度ということであった。このことから、平成25年度からは1%表記を省き予算額300万円の新事業へシフトしていた。
補助の対象については、当初は地域の盆踊りなどにも支出していたが、新たな取り組み広域な取組に限定することでより質の高い新事業が生まれてくることになった。補助の仕方についても、有識者で構成する審査委員会で、150点満点中90点以上を獲得した事業に限り助成するなど、精査された事業が補助対象となっていた。
また、1事業につき3年間が補助限度となり4年目以降の取り組みについては補助の対象外となること、新規事業が毎年出てこなければいずれは事業の枯渇が懸念されることなどが課題であるように感じた。
しかしながら、市民自らの手で企画したものについて市が積極的に助成していく事業は魅力的であり、助成額の大小にかかわらずこういった明確な目的の事業は本市の活性化にも参考になると感じた。
【札幌市】
札幌市は、平成23年度より六次産業活性化推進補助事業を展開しています。内容は一般財団法人を主体として年度2000万の予算枠で補助を行う事業であり、市内の2次・3次産業者とのマッチング機会の創出はもちろんですが、一次産業者に関しては「北海道全域が対象」というもので、合言葉はオール北海道という点が非常に事業に対する本気度を感じました。
1件当たりの上限は400万ですが、外部審査員による審査基準があり予算枠が余っていても審査基準を満たさないものは対象としない等、事業のブラッシングにも積極的に取り組んでいました。
事業の大きな特徴としては、「6次産業化に取り組むまでの準備補助金」である点で、コンサルタント依頼などの人件費やマーケティング調査費、機器リース費など生産者にとってかゆい所に手の届く事業であることです。この点は、本市の農家の方々から多く聞かれる内容だっただけに、非常に先進的な取り組みであり何が6次産業化の妨げになっているのかを理解したものであると感じました。
また、開発された商品については「テストマーケット」を実施し、市場調査を行う等商品のブラッシュアップにも力を入れるなど、しっかりとした「産業」とするための取り組みが見てとれました。
1次産業にたけた本市でも、ぜひとも導入したい事業であり引続き関係各所との連携を密にしていく必要性を感じました。
6月25日 視察先:名寄市 視察内容:天文台整備事業、ひまわりを活かしたまちづくり
視察先に選んだ理由は、本市と同じく市営の天文台がありその活用法が魅力的であったこと、まちづくりと6次産業化がうまくマッチングしている点など。
名寄市の運営する天文台は、市町村合併時に市民の訴え、議会の全会一致などで新しく建替えられたものでした。備えてある天体望遠鏡は日本で2番目という大変優れたものでした。本事業の参考とすべき点は、天文台を教育とうまく連携させていることにありました。北海道大学との提携により、実際の研究施設として活用されていることはもとより、インターネットを通じた独自番組の放送や週末を利用した天文台音楽イベント等、施設をうまく活用した地域活性化の取り組みが多く見られました。規模こそ違いますが、施設をどのように活用していくかという点は非常に参考になりました。
次に、ひまわり活かしたまちづりくりについてですが、本事業は県営公園に広がる2.2haの畑に約110000本ものヒマワリを作付し観光の目玉として確立しています。市民団体も活動に協力する等、街全体での取り組みが見てとれます。
また、ヒマワリの種については民間企業が6次産業化に取り組んでおり「ヒマワリ油 北の輝き」として商品化し毎年3万本を製造しています。まちづくりと地域産業の活性が融合した先進的な取り組みです。
しかしながら、毎年種の確保、連作障害対策、観光客が滞在する施設が乏しい点などが課題としてありました。本市でも、耕作放棄地等を活用した取組に活かすことや観光の一環としてまちぐるみで取り組める可能性を秘めた事業であると感じました。
◎まとめ
3泊4日での行政視察で、ゆっくりと事業の実施状況まで確認できなかった点が残念でした。行政間の移動について、1日200kmを運転走行するなど時間に追われることもありましたが充実した行政視察となりました。
視察で学んだことを、本市に置き換えどのようにすれば本市の発展につながるか、魅力的な取り組みとなるのか引続き思案してまいる所存です。